2025年4月29日
シンガポール株、小幅下落。経済見通しへの警戒感広がる
4月28日のシンガポール株式市場は下落して取引を終えた。シンガポール金融管理局(MAS)が経済成長見通しについて慎重な見解を示したことに加え、政府発表の最新雇用統計でも労働市場の一段の軟化が予測され、投資家心理に影を落とした。
MASは2025年通年の成長率予測レンジをゼロ~2%に据え置いたが、「貿易政策の行方には大きな不確実性がある」と警戒感を表明した。一方、労働省は第1四半期の雇用成長鈍化と失業率上昇を受け、企業心理が慎重に転じていると指摘した。
代表的な指標であるストレーツ・タイムズ指数(STI)は前日比0.3%安の3,811.80ポイントで終了。市場全体では、値上がり銘柄が243、値下がり銘柄が220と、上昇銘柄がやや優勢だった。取引量は8億7,965万株、売買代金は11億2,000万Sドルに達した。
個別では、配当落ちとなった大手銀行UOBが3.7%安の34.42Sドルと最大の下落率を記録。DBS銀行も0.1%安の42.30Sドル、OCBC銀行も0.4%安の15.83Sドルで取引を終えた。一方、最大の上昇銘柄は揚子江船業(Yangzijiang Shipbuilding)で、2.3%高の2.25Sドルとなった。
アジア市場全体では、米中貿易協議の進展や中国の景気支援策を見極めようとする動きの中で、株価はまちまちの展開となった。日本の日経平均株価は0.4%高、韓国のKOSPIも0.1%上昇。一方、中国本土と香港市場は軟調で、深セン成分指数は0.6%安、上海総合指数は0.2%安、ハンセン指数は0.04%安となった。