2025年4月18日
対米関税の影響拡大も、シンガポール政府「財政力と戦略で対応可能」
米国による対シンガポール輸出品への10%関税措置を受け、シンガポール経済は大きな試練に直面している。だが、政府は十分な財政余力と長期戦略により、企業と労働者を支援しながら危機を乗り切る方針である。
4月16日に発足した経済レジリエンス対策チーム(SERT)の初会合で、チー・ホン・タット運輸相兼第二財務相は、「必要とあれば、企業、労働者、国民を支える支援策を講じる」と明言した。支援策の早期実施や適用範囲の拡大も視野に入れ、今後の事態に柔軟に対応するとしている。
ただし、政府は拙速な判断を避け、「必要性が生じた時に備え、過去の財政準備金により国内外に安心感を与える」とし、支援の持続性と競争力強化を重視している。企業には競争力向上、労働者にはスキルアップを促し、長期的には新たな成長機会をつかむ体制を構築する。
ガン・キム・ヨン副首相兼通産相は「関税の影響は国内のみならず世界的。外需に依存するシンガポールでは、企業の投資や雇用意欲にも影響が及ぶ」と警鐘を鳴らした。シンガポールの輸出品が米国へ直接、あるいは経由国を通じて供給されている現状では、間接的なダメージも大きい。
貿易産業省は4月14日、2025年の成長率見通しを従来の1~3%から0~2%へ下方修正。タン・シー・レン人材相は、製造、金融、卸売、物流、半導体・医薬品分野が最も影響を受けるとし、「支援策は雇用維持に直結する形で、的確かつ慎重に展開する」と述べた。
政府は引き続きSERTを通じて情勢を注視し、情報共有と柔軟な政策実行により、企業と労働者のレジリエンスを高めていく構えである。