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政治

2025年3月11日

ホーカー経営者に対する個人営業義務、文化保護のために強化

 シンガポールのホーカーセンター(屋台村)において、屋台経営者は自ら店舗を運営することが義務付けられている。これは不正な又貸しを防止し、小規模事業者の参入障壁を低く抑え、ホーカー文化の本来の姿を守るための措置であると、環境・持続可能性担当上級国務大臣のコー・ポー・クーン氏が3月10日の国会で説明した。
 
 同氏は、ホランド・ブキティマ選挙区のエドワード・チア議員および労働者党のジャムス・リム議員からの質問に答える形で、国立環境庁(NEA)が屋台経営者に対し個人営業を義務付ける理由や、一時的に店舗を運営できない場合の柔軟な対応について言及した。
 
 この議論は、2月18日にある屋台経営者がFacebook上で「妊娠中の妻が屋台に立つことを強いられた」と投稿したことが発端である。NEAは、この女性が契約上の名義人であるにもかかわらず不在であったため、契約違反として警告を出した。
 
 コー氏は、この義務がなければ、屋台の落札者が第三者に転貸し、家賃の差額で利益を得る可能性があると指摘した。さらに、「ホーカー文化の本質を守るため、小規模事業者の新規参入を促進し、チェーン店が市場を支配することを防ぐ必要がある」と述べた。
 
 また、NEAは屋台の現場検査を通じて実際の経営状況を把握しており、経営者の物理的な存在が最も公平かつ実践的な監視方法であると強調した。もし経営者が店舗を運営できない場合は、店舗をNEAに返却し、次の希望者に再入札の機会を与えるべきであるとした。
 
 一方で、病気などの正当な理由がある場合、経営者は共同運営者や代理人を指名することが認められる。家族に限り、店舗の引き継ぎも可能であるが、無関係の第三者への委託は営利目的の転貸しにつながる恐れがあるため認められない。
 
 ホーカー文化が単なる効率性や規模の追求に変質してしまうと、屋台村とフードコートの違いが曖昧になり、文化の本質が失われる可能性がある。NEAは、技術革新による業務効率化を支持する一方で、経営者が直接店舗を運営し、伝統的な味と品質を維持することを重視している。
 
 コー氏は「我々はホーカー文化の遺産を守り、食の手頃な価格を維持し、新規参入者に公平な機会を提供する必要がある」と述べ、引き続きルールの厳格な運用を行う方針を示した。

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