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政治

2024年12月17日

シンガポール政府、NRIC番号使用ガイドラインを改定へ

 シンガポール個人情報保護委員会(PDPC)は、国民登録身分証番号(NRIC番号)の収集、使用、共有に関するガイドラインの改定作業を進めている。これは12月14日に発表された、NRIC番号の「マスキング(隠し)」慣行を見直す政府方針を受けたものである。
 
 PDPCのウェブサイトでは、一時的にガイドラインが非公開となり、改定作業中である旨の通知が表示された後、12月15日未明に再公開された。同委員会は、産業界や一般市民との協議を経た後にガイドラインを改定する予定だとしている。
 
 NRIC番号の扱いに関する議論は、企業登録局(Acra)が運営するBizfileポータルで、無料の検索機能を通じて他人のフルNRIC番号が閲覧可能になったことに端を発する。この機能は公衆の反発を受け、12月13日に一時的に無効化された。しかし、デジタル発展・情報省(MDDI)は12月14日の声明で、NRIC番号のマスキングには大きな効果がなく、アルゴリズムを使えばマスキングされた番号から完全な番号を推測することが可能だと指摘した。
 
 政府は今後、NRIC番号をマスキングせずに活用する方針を段階的に導入するとしている。ただし、この動きは個人情報保護法(PDPA)の趣旨には合致するものの、一般市民の感覚とはズレがあるとの指摘もある。シンガポール経営大学のユージン・タン准教授は、「市民はNRIC番号を公開することへの慎重さを身につけている」と述べ、この転換には慎重な説明が必要だと強調した。
 
 一方、専門家らは、NRIC番号を使用する際の教育の重要性を訴えた。MDDIは2025年にPDPCと共同で公衆教育を実施し、NRIC番号を適切に使用しつつ安全性を確保するための対策を周知する予定である。

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