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社会

2023年2月14日

マリーナ・ベイ・サンズ、44億ドルの拡張工事が再び延期

シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズ(MBS)が計画している拡張工事は再び遅れる見込みで、いつ建設が始まるかは未定であるという。
 
 Las Vegas Sands(LVS)は、2022年2月に、MBSの33億USドル(44億Sドル)の拡張工事は2026年までに完了する予定であると発表されたが、これ以前には2025年までに完了する予定であった。
 
 工事が遅れた主な理由は、パンデミックによる建設業界の混乱であったと言われている。
 
 LVSは、シンガポール政府との第2次開発契約によって、2023年4月までに拡張工事を開始することが決められているが、同グループは2月3日に発表した報告書の中では、このスケジュールまでに着工できる見込みはないとしている。
 
 その理由はMBSの拡張工事の「開始と完了」の期限延長について、シンガポール政府と協議中であると述べている。
 
 また、LVSは、MBSの拡張について、Covid-19の流行などの影響を考え、予算や時期を検討している最中なので、総事業費は着工時に確定するとしている。
 
 もし、同グループが延長を得ることが出来ない場合は契約違反となる。
 
 シンガポール政府観光局(STB)の広報担当者は、今後も進展状況を注視していくという。
 
 MBSが2019年4月にSTBと締結した本契約には、MBSの拡張工事に関連する条項が含まれているという。また、一定のマイルストーンを達成した場合のMBSに対する一定の利益や権利も含まれている。
 
 具体的内容は、MBSが保有する2,500台のゲーム機に加え、さらに1,000台のゲーム機を保有できること、また、シンガポール政府当局からの書面による要請に応じて、追加のゲームエリアを購入するオプションが付与されることなどが挙げられる。
 
 報告書には、MBSがどのようなマイルストーンを達成すれば権利を享受できるかまでは明記されていないが、2019年10月には、追加された1,000台のゲーム機のうち500台を利用できるようになったと記載されている。
 
 2019年に発表されたMBSの拡張計画には、新たに1,000室の高級ホテルタワーと1万5,000席のエンターテインメントアリーナが建設される予定という。
 
 テマセク・ポリテクニックのホスピタリティ・観光管理ディプロマコースのベンジャミン・カシム氏によれば、この遅延はビジネスや高級志向の旅行先としてのシンガポールの魅力に重大な影響を与えることはない。LVSのイメージダウンや株価への影響はあると思うが、それはごくわずかと考えられる。現在の世界的な経済情勢を考えると、慎重であることは必ずしも弱点とは見なされないという。
 
 2023年初め、MBSは2022年最終四半期にマスゲームと小売の収益で過去最高の業績を記録した。その純収益は、2021年最終四半期に記録した3億6,800万USドルから、2022年第4四半期にはほぼ倍増の6億8,200万USドルに達した。
 
 この延期によって、MBSが計画している拡張工事に、より高いレベルの持続可能性を盛り込み、ホテルスイートやミーティングスペースに新技術を活用することができる。
 
 また、MBSは現在、既存の2つのホテルタワーを2023年の完成を目指して、10億ドルかけて、新たなスイートルームをつくっている。

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