2022年建国記念日のメッセージ

　リー・シェンロン首相は8月8日（月）、シンガポールの人々は今後数十年の間に、この地域がこれまでと同じように平和で安定したものになるとは限らないことを覚悟し、心理的な準備をしなければならないと述べた。
 
　また、ここ数十年間人々が享受してきた低インフレ水準と低金利がすぐに戻ってくることはないだろうと、首相は建国記念日のメッセージの中で付け加えた。
 
　首相は、生活費がすべての人の頭の中にあることを認め、状況が悪化した場合、政府はシンガポール国民を助けるためにさらなる努力をする用意があると断言した。
 
　しかし、基本的な現実は、世界経済の状況が変化していることだという。そのため、シンガポールは産業の転換、スキルの向上、生産性の向上により深く対応する必要がある。
 
　そうしてこそ、賃金はインフレに打ち勝ち、国民は年々実質的な収入を増やしていくことができる。
 
　リー首相は、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイで収録されたスピーチの中で、地政学と経済について、このような厳しい見通しを述べた。
 
　リー首相は、2年半に及ぶCovid-19の戦いの後、シンガポール人は1つの国民として乗り越えてきた。その成功の鍵は、政府を信頼し、安全管理措置やワクチン接種に関する政府のアドバイスに従うだけでなく、互いに責任感をもって行動することを信頼し合ったことである。誰もチェックしないときでも、私たちは正しいことをした。私たちの相互信頼がすべてを変えたのである。シンガポールの人々は、パンデミックからより強く、結束して立ち上がった。この結束は、国が前進する上で非常に重要であると述べた。
 
　リー首相は、米中関係は悪化しており、難解な問題、深い疑念、両者の関与は限定的である。これはすぐには改善されそうになく、誤算や災難があれば簡単に事態を悪化させることができると指摘した。
 
　ロシアのウクライナ侵攻は、世界とシンガポールにとっても深い意味を持つという。
 
　第一に、核保有国であるロシアを多くの国家、特に米国とNATO諸国と激しく対立させたことである。この敵意は深く、容易に解消されるものではない。
 
　第二に、侵略は国連憲章に基づく主権と領土の一体性という基本原則に違反するものである。このような原則は、シンガポールの安全と存立を支えるものであり、シンガポールにとって不可欠であるという。
 
　第三に、ヨーロッパでの戦争は、アジア太平洋地域の安全保障に影響を与える。中国とアメリカ、そしてアメリカのアジアにおけるパートナーとの関係をさらに緊張させる。シンガポールは、我々を取り巻く地域の激しい対立と緊張に振り回されることになる。
 
　シンガポールが生き残るためには、団結することが重要である。それが、ますます困難になっていく世界での挑戦に対処する唯一の方法なのである。我々は総合的な防衛に目を向け、強力で信頼できるSAFとホームチームを維持しなければならない。
 
　リー首相は、経済について、シンガポールはパンデミックから力強く立ち直ったものの、先行きはかなり不透明であると指摘した。
 
　パンデミックによってサプライチェーンが寸断され、インフレはすでに進行している。
 
　ロシアのウクライナ侵攻はこの2つの問題を悪化させ、食料とエネルギーの価格は世界的に上昇している。
 
　リー首相は、シンガポール国民が物価上昇に対処できるよう、政府は必要なあらゆる手段を講じている。複数の支援策がすでに実施されているものもあれば、今後数ヵ月のうちに実施されるものもあり、最も支援を必要としている人々を対象としていると述べた。
 
　我々は、食料とその他の必需品の供給を確保するために断固として行動し、供給源を多様化し、十分な備蓄を積み上げてきた。
 
　リー首相は、企業やコミュニティグループが独自の支援プログラムを開始したことを嬉しく思うと付け加えた。
 
　助け合うことで、シンガポールは共に強くなることができると述べた。
 
　一方、政府は輸入インフレを抑えるため、為替政策を引き締め、シンガポールドルを高騰させた。
 
　また、政府は、事態が悪化した場合、シンガポール国民を支援するためにより多くのことを行う用意があると付け加えた。
 
　リー首相は、この先、さらなる嵐と激動が待ち受けているが、恐れることはない。私たちが団結し、毅然としている限り、この国の平和と安全を維持し、より豊かな経済を築き、私たち全員が所属し、誇りを持てる包括的な社会を、今後何年にもわたって築くことができると述べた。