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政治

2022年4月26日

安全管理措置(SMMs)および水際措置の緩和まとめ

 4月22日、シンガポール保健省(MOH)は、安全管理措置、水際措置などの緩和について公表した。
 

最新の国内状況

 シンガポールにおける1日の感染者数とCOVID-19による入院者数は、過去1週間で着実に減少している。1日あたりの感染者数は、7日平均で、ピーク時の約18,300人から、この1週間で3,100人以下にまで減少した。さらに重要なことは、入院者数がピーク時の1,726人から266人に減少したことだ。COVID-19関連の集中治療室(ICU)患者数は、現在一桁台。また、重症化も低い水準で推移している。過去28日間で、ICUでの治療や酸素補給を必要とした割合はそれぞれ0.03%と0.2%だった。
 

DORSCONをイエローに引き下げ

 Disease Outbreak Response System Condition (DORSCON)の枠組みは、現在の感染状況を示している。国内の状況は改善しており、1日の感染者は減少し安定していること、高いレベルのワクチン接種によって感染の影響は軽減されていること、ワクチン未接種者や高齢者などの脆弱なグループを除いて症状は通常軽症であること、そして安全管理装置(SMMs)が徐々に緩和されていることから、DORSCONレベルがオレンジからイエローへ引き下げられることとなった。
 

最新の安全管理装置(SMMs)

 4月26日から、以下のとおり変更される。
 

グループサイズ(社交の人数)

 「マスクを着用しない活動は10人まで」などの、グループサイズの制限は廃止される。また、1世帯あたりの訪問者の上限(従来は最大10人)も撤廃となる(自宅での厳粛な儀式や葬儀の参列者制限も解除)。
 

マスク着用

 公共交通機関を含む屋内の場面では、引き続きマスク着用が義務づけられる。屋外でのマスク着用はこれまで通り任意。しかし、シンガポール保健省(MOH)は引き続き注意を払うように呼び掛けている。例えば、屋外の人混みでは、これまで通りマスクを着用することが推奨される。
 

職場の要件

 すべての従業員が職場に復帰できるようになり、現在の在宅勤務可能者の75%という制限は緩和される。屋内の場面ではマスク着用が義務付けられるが、他の人と物理的に接触せず、かつ顧客と対面する場所でなければ、職場でマスクを外すことができる。この緩和により、職場に戻る従業員が増え、ある程度の柔軟性は確保される見込みだが、誰もが社会的責任を果たし、マスクをしていない間は他の人との適切なソーシャルディスタンスを維持することが望まれる。このような変更があっても、雇用主は在宅勤務や時差出勤などの柔軟な勤務形態を職場に恒常的に導入し、推進することが推奨される。柔軟な勤務形態がもたらす職場のメリットに加え、より多くの人が職場に戻ることで生じるピーク時の混雑を回避することにもつながるという。
 

ソーシャルディスタンス

 グループサイズの制限が撤廃されることに伴い、個人間やグループ間のソーシャルディスタンスは不要となる。
 

人数制限

 これまで、1,000人を超える大規模な場面やイベントでマスク着用の場合は、75%の人数制限があった。今後は、このような場面やイベントに対する人数制限は撤廃される。ただし、客同士で踊ることが目的の1つであるすべてのナイトライフ事業は、引き続き75%の人数制限が適用される。
 

国内措置のその他の調整

ワクチン接種状況に応じた安全管理措置(VDS)

 シンガポールにおけるワクチン接種率は、対象人口の96%と世界でもトップクラスである。感染者数や入院数が着実に減少しているため、病院や医療従事者は、COVID-19以外の患者への対応にシフトしている。そのため、Vaccination-Differentiated Safe Management Measures (VDS)を緩和できる状態になったという。
 
 4月26日から、VDSは、以下を除くすべての場面において適用されない。
 a 参加者が一度に500人を超えるイベント
 b 客同士で踊ることが目的の1つであるナイトライフ施設
 c レストラン、コーヒーショップ、ホーカーセンターを含む飲食店(F&B)
 ※これらは、人混みやマスク非着用の活動など、感染リスクが高いと判断される場面。
 
 飲食店(F&B)については、VDSは引き続き必要となるが、店舗側で顧客に対して行うVDSチェックは不要となる。これは、すでにホーカーセンターやコーヒーショップに適用されているもの。その代わり、食事をする個人が規則を遵守する責任が生じる。飲食店では、ワクチン接種済み者だけが食事をしていることを確認するために、ランダムなスポットチェックが引き続き実施される。
 

労働者ワクチン接種措置(WVM)の撤廃

 人材開発省(MOM)が実施する労働者ワクチン接種措置(WVM)も撤廃される。しかしながら、パンデミックは終わっておらず、今後数ヶ月の間にも大きなリスクがあることから、政労使三者は、雇用主が職場の健康と安全、事業継続の理由から、雇用法に従って従業員に対するワクチン接種関連の指示を継続して実施する柔軟性を持つべきであると合意した。詳細については、MOMから発表予定。
 

健康リスク通知(Health Risk Notice:HRN)の停止

 状況が改善されたことを受け、保健省(MOH)は4月26日から、濃厚接触者へのHRNの通知を停止する。COVID-19に感染した人は、家庭内接触者の詳細をオンラインで提出する必要がなくなる。しかし、引き続き社会的責任を果たすことが求められる。例えば、COVID-19陽性者は、濃厚接触者に知らせて、その接触者がプロトコル3に基づく必要な予防措置(すなわち、家を出る前に陰性であることを自ら検査し、さらなる広がりを防ぐ)を取らなければならない。高リスク者がいる施設(病院、老人ホーム、高齢者施設など)では、入室を許可する前に、最近感染した人に対し抗原迅速検査(ART)結果が陰性であることを証明するよう求める必要がある。
 

TraceTogether(TT)、SafeEntry(SE)利用の段階的縮小

 HRNが通知されなくなるため、COVID-19感染者は4月26日から、TTデータのアップロードやTTトークンの提出が不要となる。また、入場時にVDSチェックが必要な常時500人以上の大規模イベントや一部のナイトライフ施設を除き、ほとんどの会場でTTアプリケーションやトークンを使ったチェックインも必要なくなる。TT/SE機能は、これらのVDSチェックを行う手段として維持される。また、新たな変異株に対応するために接触追跡とVDSチェックを再度行う必要がある場合に、迅速に対応できるようにするためでもあるという。そのため、TTトークンの保存や、TTアプリケーションの携帯電話での保存が強く推奨される。
 
 2021年2月2日の議会で説明されたとおり、取得されたTTまたはSEデータは、警察官および法執行官が重大な犯罪に関する犯罪捜査および刑事手続きのために引き続き使用される可能性がある。これはCOVID(臨時措置)法に規定されており、国民を守るため、警察はこの利用可能なデータを使って加害者を裁判にかけ、被害者を救済する。
 

CTCsとQTCsでの無料ART検査と週末のARI検査の中止

 これまで、オミクロン株の波の間、一般開業医(GP)クリニックやその他の医療機関の負担を軽減するために、複合テストセンター(CTCs)とクイックテストセンター(QTCs)で無料のART検査と週末のARI検査が行われてきた。感染者数が減少し、Public Health Preparedness Clinic(PHPCs)の負荷が緩和されたため、4月26日から、これらの無料検査が終了となる。有料のART検査は、引き続きCTCS/QTCS、GPクリニック、またはtele-ART提供機関を通じて利用できる。
 

最新の水際措置

出発前検査(Pre-Departure Test)要件の撤廃

 4月26日00時01分以降に空路または海路の検問所を経由して入国するワクチン接種完了済みの渡航者およびワクチン接種を完了していない12歳以下の子どもは、シンガポールへの出発前にPDTを受ける必要がなくなる*。これにより、ワクチン接種を完了した健康な渡航者は、シンガポール入国時の検査が不要となる。また、5月1日から、マレーシア以外のワークパーミット(Work Permit)保持者でワクチン接種を完了している場合は、シンガポールへの入国許可を申請する必要はない。

 ※5月1日より、In-Principal Approval(IPA)を所持するマレーシア以外のワークパーミット所持者は、出国前準備プログラム(PDPP)の利用が可能な国である場合(現時点ではバングラデシュ、インド、ミャンマー)、シンガポール入国前に2日間のPDPPを受ける必要がある(詳細)。

 
 さらに、現在、建設・海事・プラントメンテナンス(CMP)分野でIPAを保有する非マレーシア人のワークパーミット保持者(WPHs)は、人材開発省(MOM)から入国承認を取得する必要がある。5月1日から、CMP部門でIPAを取得したマレーシア人以外のWPHsは、シンガポールへの入国許可申請は不要。代わりに、入国時に出稼ぎ労働者用センターでonbordingを受けるためのスロットを予約する必要がある(詳細)。
 
 ワクチン接種を完了していない渡航者の入国要件に変更はなし。シンガポールへの入国を許可された13歳以上のワクチン未接種者は、シンガポールへの出発前2日以内に出発前検査(PDT)を受け*、7日間の隔離(SHN)を受け、SHN期間終了時にPCR検査を受けることが義務付けられている。

 ※有効な出国前検査:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査、専門家による抗原迅速検査(ART)、またはシンガポールの認可提供機関による監督下のART(リモート指導によるARTを含む。シンガポール国民、永住者や長期滞在パス保有者(LTPHs)に限る)。

 
 ワクチン接種を完了していない13歳以上のLTPHsおよび短期滞在渡航者(STVs)は、以下の例外を除き、シンガポールへの入国を認められない。
 (i) 医学的にワクチン接種が不可能なLTPH保持者
 (ii) 他の有効な入国許可(例:人道的な理由)を得たLTPH保持者及び短期滞在渡航者
 (iii) 適切な措置に従った13歳から17歳までのLTPH保持者(シンガポールに入国する13歳から17歳までのLTPH所持者はシンガポールに到着後、ワクチン接種を完了させる必要がある)
 
 世界的に13歳から17歳までのワクチンの入手可能性が高まっていることから、7月1日以降に入国する13歳以上の全てのLTPH保持者は、医学的にワクチンの接種が不可能な場合を除き、シンガポール入国前にワクチン接種完了が義務付けられる予定。
 

マレーシア国境をまたぐバス及びタクシーサービスの再開

 シンガポールとマレーシアの陸路往来がワクチン接種を完了した渡航者に再開されたことを受け、陸上交通庁(LTA)は公共交通事業者とともに、5月1日から国境をまたぐバスの運行を再開する。来月から、シンガポールのバス事業者は、シンガポールとジョホールバルを結ぶバスの運行サービスを再開できる。これには、SBS Transit Ltdが運行するサービス160、170、170X、SMRT Buses Ltdが運行するサービス950、Transtar Travel Pte Ltdが運行するサービスTS1、TS3、TS6、TS8が含まれている。
 
 国境をまたぐタクシーの運行も5月1日から再開される予定。通勤でジョホール州へ向かう場合は、クイーンストリートのタクシーターミナルでタクシーに乗車するか、越境タクシーの免許を持つタクシー会社を通じての予約が可能になる。
 

外国人労働者のコミュニティビジットの拡大

 4月26日から、外国人労働者は、平日最大25,000人、週末と祝祭日は最大50,000人、1回につき最大8時間、コミュニティを訪問できるようになる。これは、現在の平日15,000人、週末および祝祭日30,000人という現行措置を更に緩和したもの。
 
 多くの場所でVDSが解除されたことに伴い、ワクチン未接種の外国人労働者もコミュニティビジットへ参加可能になる。ワクチン未接種の外国人労働者は、レクリエーション・センターに行く場合、許可申請やPre-Visit Testsは不要となる。ただし人が多く集まる場所では、過密状態を管理するため、外国人労働者は引き続き外出許可の申請が必要となり、コミュニティ内のどこにいるのか、場所を示すことが求められる。MOMは、申請者数を管理し、人が密集しやすい場所(ホットスポット)の定期的なチェックを継続していくという。
 

ブースターワクチン接種

 ワクチン接種がCOVID-19による重症化から人々を守るための重要な手段であることに変わりはない。COVID-19専門家委員会(EC19V)は、免疫力の低下を考慮し、初期接種を終了している12歳以上のコロナ快復者にブースター接種を推奨している。このブースター接種は、初期接種を受けてから9カ月を超えていないこと、また、感染後28日以上経過していることが必要条件。6月1日以降、対象の快復者は、ワクチン接種完了の状態を維持するために、最後の初期接種から9カ月以内にブースター接種を受けることが求められる。ワクチン接種センターでは、午後7時までブースター接種を受けることができる。
 
 60歳から79歳までについて、EC19Vは2回目のブースター接種の推奨はしていないが、同委員会は、希望者がブースター接種をすることに同意した。2回目のブースター接種は、1回目のブースター接種から約5ヶ月後に行うことが望ましいとされている。これは特定のグループ(80歳以上、高齢者施設居住者、医学的にリスクの高い方)に対して2回目のブースター接種を推奨したことに加えて、更に追加された措置となる。60歳以上は、午後7時までにmRNAワクチンを提供しているワクチン接種センターで2回目のブースター接種を受けることができる。
 

救急外来における資源の保護

 感染者数が減少している場合でも、救急外来(Emergency Departments:ED)へ過度な負担をかけないよう保健省(MOH)は呼びかけている。救急外来での医療行為は、重症または生命にかかわるような緊急を要する患者に限定されるべきであり、救急外来が混雑することや、重症で生命にかかわる患者の治療を遅らせることのないよう、緊急性のない患者は、プライマリーケアクリニックで治療を受けることが求められる。
 
 救急医療センターの資源を確保するため、COVID-19の検査が必要な場合、または軽度の症状で陽性と判定された場合は、まず通常のプライマリーケア医またはMOH認可の遠隔医療提供者にかかること。ワクチン接種の有無にかかわらず、有効なGP/ポリクリニックからの紹介がなく、COVID-19検査や緊急性のないCOVID-19の治療*を目的として救急外来に来院した場合には、救急治療費の支払いが請求されることになる。

 ※医師や遠隔医療提供者からの紹介がなくEDに来院する場合や、入院を必要としない症状である場合を指す。

 

提供:在シンガポール日本国大使館

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