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政治

2022年2月25日

医療負担軽減に向け、保健省が協力呼びかけ

 2月22日、シンガポール保健省(MOH)は、1日の新規感染者数が過去最高を更新したことを受けて、医療従事者の負担軽減のための協力を呼びかけた。22日における、1日の新規感染者数は25,000人以上。病院、ポリクリニック、一般開業医(GP)クリニックはひっ迫し、医療従事者は厳しいプレッシャーにさらされている。感染の波がピークを超えるまでには、数週間かかるかもしれないとの見方もある。
 

病院への支援

 現在、2つの問題が生じているという。一つ目は、酸素補給や集中治療室(ICU)治療を必要とする感染者の数は多くないものの、主に慢性基礎疾患を有する感染者のための病床の需要が急増していることだ。保健省(MOH)は、医療従事者を支援するためにできる限りの対策を実施。具体的には、病院の診療能力を増強し、COVID-19治療施設(CTF)に可能な限り感染者を移し、感染者対応の負担を民間病院に分散させ、老人ホームの入居者がホームで療養することを認めるとともに、SG治療部隊(SG Healthcare Corps)やシンガポール軍(SAF)の医療従事者などで医療人員を補完している。また、より多くの感染者が自宅で快復できるように、医療プロトコルをさらに調整した。
 
 二つ目は、病院やポリクリニック、一般開業医クリニックを訪れる感染者の多くが、無症状あるいは軽症ということだ。これらの人々は、医療専門家による抗原迅速検査(ART)を受けて保健省(MOH)の記録に残してもらうことを求めたり、診断書(MC)を求めているという。すでに大きなプレッシャーとストレスにさらされている医療従事者にとって、これは大きな負担となっている。
 
 医療サービス提供者のために、雇用主や一般市民の支援と協力が必要となる。保健省(MOH)は雇用主に対して、従業員がCOVID-19に陽性となった場合、診断書や快復証明の提出を求めないように依頼。リスクが低く、軽症、あるいは体調の良い従業員には、クリニックや病院に行かず、自宅で隔離し治療するよう注意を促すべきだという。(MC等ではなく)検査結果の写真やARTを行っている様子を撮影したビデオを提出することも一つの手段とした。
 
 また緊急事態でない限り、病院の救急外来(emergency department(ED))に駆け込まないことも求められる。救急外来が治療を必要とする患者を優先できるよう、小児を含め、緊急性のない症状で救急外来を受診した患者は、他の緊急医療クリニックやかかりつけ医クリニックに転送されて診察を受ける可能性がある。
 

医療機関への受診に代わる方法

 診察が必要な場合は、まずかかりつけの医師に相談すること。2月25日から3月10日まで、民間クリニックの患者数のピークを分散させるため、Public Health Preparedness Clinics(PHPC)の診療時間が延長される。市内の一部のPHPCは、平日夜間(23時まで)、週末午後(土日、14時~17時)、週末夜間(土日、23時まで)の診療を行う。また、一部のポリクリニックでは、土曜日の午後と日曜日の午前中も診療を行う予定。これらの期間限定の診療時間延長を行っているクリニックのリストは、https://flu.gowhere.gov.sg/を参照のこと。
 
 2月26日から、複合テストセンター(CTCs)では、症状を感じて週末にCTCsに行って検査をしようとしている人を対象に、遠隔医療相談を受け付ける。遠隔医療を行う医師は、対面式のビデオ診察を行い、必要に応じて薬の処方や配送を行う。この期間中の検査や診察は、政府から資金援助される。CTCsでの急性呼吸器感染症(Acute Respiratory Infection (ARI))検査と遠隔医療相談の予約は、https://www.moh.gov.sg/covid-19/rsc/expanded-venues-for-covid-19-testing-for-symptomatic-individualsから行うことができる。
 
 また、保健省(MOH)が認可した遠隔医療提供機関と連絡を取り、オンラインで医師に相談することも可能だ。これらの遠隔医療提供機関は、遠隔診療と遠隔ART(オンラインでリアルタイムの監督を受けながら自分で行うARTスワブ検査)の両方を提供。このようなサービスを提供することができる遠隔医療提供機関のリストは、https://flu.gowhere.gov.sg/を参照のこと。
 

プロトコル2による自己快復

 重要なことは、軽症、あるいは無症状であるにもかかわらず検査で陽性となった場合は、プロトコル2に基づき、自宅での自己快復に努めることだという。人々が公的な記録を必要とする理由は様々だ。まず、特定の業種に従事する場合の定期検査(Rostered Routine Testing(RRT))を免除するためという理由が挙げられるが、医療、高齢者介護、就学前教育を除くほとんどの業種ではRRTを廃止する。次に、海外渡航に際して行ったPCR検査が陽性となった場合に、本人が過去に感染していたことを証明するためという理由が挙げられるが、渡航者向けのPCR検査も縮小される。さらに、ブースター接種が免除されるという理由もある。COVID-19に感染したワクチン接種完了者はブースター接種を免除されるが、COVID-19ウイルスから適切に防御するために、保健省(MOH)そのような場合でもブースター接種を受けることを推奨している。
 
 COVID-19ワクチン接種に関する専門家委員会(EC19V)は、これらの人々がブースター接種によって高い効果を得るためには感染後3か月後に接種することが推奨されるとしているが、感染後28日目から接種しても良いとされている。ワクチン接種センターでは、感染後28日目が経過している人にはブースター接種を実施している。感染したからといって3か月待つ必要はなく、感染から快復した人は、ほとんどの場合、初期のワクチン接種から270日以内にブースター接種を受け、ワクチン接種済みのステータスを維持することができるという。
 

提供:在シンガポール日本国大使館

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