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経済

2021年11月23日

10月のシンガポール全体のインフレ率は3.2%に上昇、8年以上ぶりの高水準に

 シンガポールの10月のインフレ率は、自動車価格や住宅価格の上昇により、エコノミストの予測を上回り、全体で8年ぶりの高水準となり、コア・インフレ率も約3年ぶりの高水準となった。
 
 全体のインフレ率は、9月の2.5%から3.2%に上昇した。これは、2013年3月以来の高水準であり、ブルームバーグが調査したアナリストの予想中央値である2.8%を上回った。
 
 シンガポール金融管理庁(MAS)とシンガポール貿易産業省(MTI)は11月23日(火)、コア・インフレ率の上昇に加えて、私道輸送費とレンタル料の上昇を反映したと発表した。
 
 家賃と自家用道路交通費を除いたコア・インフレ率は、9月の1.2%から先月は1.5%に上昇した。この上昇は、サービスと食品の価格が上昇したことと、小売およびその他の商品のコストの減少が小さかったことによるものという。これは、ブルームバーグが調査したアナリストの予想中央値1.3%を上回るものであるという。
 
 コア・インフレ率が高くなったのは2019年3月で、1.7%を記録した。消費者物価の根本的な動向をよりよく捉えているコア・インフレ率は、MASがシンガポールの金融政策の見直しにおいて最も注意深く監視している指標である。
 
 MASとMTIは、輸入品や人件費の上昇、国内の経済活動の回復が、今後数四半期のコア・インフレ率の着実な上昇を支えるだろうという。
 
 これは主に、国境規制の緩和やワクチン接種済みの旅行者用レーンの設置に伴い、航空運賃や休暇費用のインフレ率が上昇したことによる。また、学費やその他の費用、娯楽や文化的サービスの価格も上昇幅が大きくなっている。
 
 食料品の価格は、調理済み食品の価格がほぼ横ばいだったのに対し、非調理食品の価格がより速いペースで上昇したため、9月の1.6%に比べて1.7%に上昇した。
 
 小売・その他の商品の価格は、衣料品、履物、通信機器の価格の下落が小さかったため、9月の1%の下落に比べて、先月は0.4%の緩やかなペースで下落した。
 
 車の価格が上昇したことにより、自家用交通機関のインフレ率は、前月の10.8%から14.3%に上昇した。宿泊費も、住宅賃料の上昇幅が大きかったことから、9月の1.9%から2.5%に上昇した。
 
 一方、電気・ガス料金は、1年前に比べて上昇幅が小さかったため、9月の9.9%の上昇に比べて7.8%と緩やかなペースで上昇した。
 
 MASとMTIは、世界のインフレ率は引き続き上昇しており、この状態はしばらく続くだろう。特に、原油価格の上昇は、供給が逼迫していることに加えて、需要が強まっていることに支えられている。様々な商品・製品市場における需給のミスマッチや、世界的な輸送のボトルネックは、短期的には継続する可能性が高いという。
 
 また、シンガポールの主要貿易相手国の基礎インフレ率も、世界および地域経済の回復に伴い、徐々に上昇していくと予想される。
 
 MASとMTIは、国内では、Covid-19規制の緩和や経済活動の回復に伴い、労働市場の回復がより定着することが予想される。賃金は持ち直しており、労働市場のたるみが解消されるにつれて、安定したペースで上昇することが予想されるという。
 
 MASとMTIは、2021年のインフレ予想を予測範囲の上限に維持した。2021年全体では、コア・インフレ率は0%から1%の予測範囲の上限に近い値となり、2022年にはさらに上昇して1%から2%になると予測している。
 
 全項目のインフレ率は、今年は2%前後、来年は平均1.5%〜2.5%になると予測。建設工事が遅れる中、宿泊施設のインフレ率は堅調に推移し、2022年の(全体の)インフレ率を引き続き支えると思われる。一方、自家用交通機関のインフレ率は、COE(資格証明書)の保険料やガソリン代の上昇ペースが鈍化することから、来年は緩やかになる可能性が高いという。
 

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