シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXニュースTOP【コロナ最新情報まとめ】自宅療養プログラム、ワクチン接種の拡大、...

政治

2021年10月25日

【コロナ最新情報まとめ】自宅療養プログラム、ワクチン接種の拡大、水際対策など

 10月23日、シンガポール保健省(MOH)は、「安定化フェーズによって強力な礎をつくり、各種活動再開の準備をする」として、詳細を下記のとおり公表した。
 
 関係省庁タスクフォースは今週前半、「安定化フェーズ」を4週間、11月21日まで延長すること(途中での見直しあり)を発表。政府はこの期間を最大限に活用し、今後の活動の再開のための強固な基礎を作る。まずは、国内感染者の安全を守るための対応能力を強化するため、全ての国民が安心して自宅療養(Home Recovery Programme(HRP))を受けられるスキームや、HRPを開始する場合への案内や治療等の最適化に取り組む。また、ICUの増強や医療従事者の増員により病院のキャパシティを増強。私立病院も、公立病院の負荷を軽減し、コロナ患者も含む全ての患者に適時に医療を提供できるよう準備している。
 
 次に、住民のワクチンによる防御力の強化を続けていく。ブースタープログラムを推進し、医学的理由によりmRNAワクチンの接種が受けられない人が接種を受けられるよう、Sinovac-CoronaVacワクチンをPandemic Special Access Route (PSAR)(注:シンガポールの暫定承認制度)で承認し、国の接種プログラムに取り込む。
 
 そして、ワクチン接種状況に応じた措置(Vaccination-Differentiated Safe Management Measures (VDS))をさらに拡大し、出社する労働者について、ワクチン接種を完了しているか、最低でも定期的に検査を受けることを要件とする。一方で、高齢者の健康・福祉確保の重要性に鑑み、現行の安全管理措置に沿った形での、高齢者向けの活動を企画し、健康でアクティブに、社会とのつながりを維持することを目指していく。
 
 政府は今後数週間、このような基礎的な取組を積極的に行っていくとともに、感染状況や医療の状況を注視。取組が進み、状況がさらに安定した場合には、社会、経済を徐々に再開していくことができると考えている。
 

医療キャパシティ・能力の強化

自宅療養プログラム(HRP)基準の拡大

 先般HRPの対象グループの拡大が発表された。患者の大部分は基本的に自宅療養となる。自宅療養は安全な療養方法とされており、社会がHRPに慣れてきたことや、自宅療養開始の手順や治療体制が確立されてきたことから、対象がワクチン接種を完了した35歳以下かつ妊娠26週未満の妊婦にも拡大される。HRP開始に当たっては、指定病院において自宅療養が適切かどうかの診断がなされる。
 
 政府はまた、引き続きHRPの患者の遠隔管理のため総合医の募集、コロナ患者以外も含む患者に対処できるよう私立病院全体としての病床数の増強、公立病院のキャパシティを増やすための療養施設(CTF)の増設等を行っていく。
 

ワクチン接種の拡大

ブースター接種の推進

 シンガポールは9月に60歳以上、10月3日には50歳から59歳までのブースター接種を開始しており、10月21日時点でブースター接種を受けた人数は655,029人に上る。50歳から59歳の接種可能者82%、60歳以上の接種可能者79%がブースター接種済みか予約済みだという。
 
 10月9日からは医療従事者やフロントライン労働者で初期接種(注:ワクチン2回接種完了)から6か月程度経った人に対するブースター接種を開始。30歳以上で初期接種から6か月程度経った人にもブースター接種の予約案内が開始されている。10月21日時点で30歳から49歳までの約190,000人に予約案内が送付され、約138,000人(案内を受領した72%)が予約済みの状況。
 

mRNAワクチンの接種ができない人のためのSinovac-CoronaVac

 健康科学庁(HSA)によるPSARに基づく暫定承認を経て、Sinovac-CoronaVacコロナワクチンが国の接種プログラムで利用可能となる。ワクチン接種に関する専門家委員会の勧告では、Sinovac-CoronaVacはmRNAワクチンより有効性が低いとされていることから、次の指示が適用される。
 
 1.mRNAワクチンの接種が可能な者は初期接種(2回)をmRNAワクチン(ファイザー・ビオンテック又はモデルナ)により行うこと。
 2.これまでにSinovac-CoronaVacワクチンの接種を1回ないし2回受けている者は、免疫獲得のため初期接種としてmRNAワクチンを使って3回の接種を受けることが強く推奨される。
 3.医学的理由によりmRNAワクチンの接種が受けられない者は、初期接種としてSinovac-CoronaVacワクチンの接種を3回受けること。
 4.mRNAワクチンの1回目の接種後にアレルギーや重篤な副反応を発症した者は、さらにSinovac-CoronaVacワクチンの接種を2回受けることで初期接種3回を終えること。mRNAワクチンの2回目の接種後にアレルギー反応を発症した者は、ブースター接種の時期が来たときにはブースターとしてSinovac-CoronaVacワクチンの接種を1回以上受けること。
 
 シンガポールのワクチン接種率は対象年齢層の90%を超える高水準だが、強い個人の好みの問題でmRNAワクチンの接種を受けない人が一定数存在している。全ての人にそれぞれ適切な防御を得させるため、Sinovac-CoronaVacワクチンの接種を1回ないし2回受けただけの人も含む、ワクチン接種を完了していない人に対して、国の接種プログラムにより初期接種としてSinovac-CoronaVacワクチンの3回接種を提供するというものだ。
 
 ただし、初期接種としてmRNAワクチンの接種を2回受け、アレルギーや重篤な副反応を発症していない人には、ブースターとしてSinovac-CoronaVacは推奨されない。そのような場合は国の接種プログラムの下ブースターとして(3回目の)mRNAワクチンが薦められる。
 
 なお、Sinovac-CoronaVacは12歳から17歳までには使用が承認されていない。12歳から17歳までへの使用はSinovac社から申請されておらず、WHOの緊急使用リストの条件とも合致する。ただし、この年齢層で、医学的にファイザー・ビオンテック/コミナティの2回の接種ができない人については、特定制度の下初期接種としてSinovac-CoronaVacの3回接種を提供する。当該ワクチンの18歳未満への使用はHSAによる暫定承認の対象になっていないことから、当該制度による接種者は訓練された医療者による経過観察を受けることとなる。この年齢層の該当対象者は別途通知される予定。
 
 10月20日から、18歳以上で、1回目のmRNAワクチンの接種によりアレルギーや重篤な副反応があり初期接種2回を完了できない人に対し、Sinovac-CoronaVacワクチンにより初期接種3回を完了するよう通知が行われている。予約のためのリンクを記載したSMSが最初のmRNAワクチンの接種時に登録された携帯電話番号に送付され、www.vaccine.gov.sgで予約が可能。Sinovac-CoronaVacの接種は国の接種プログラムに基づきRaffles City Convention Centreや11のPublic Health Preparedness Clinics (PHPC)その他認定クリニックで行われる。クリニックの詳細は10月24日に保健省ウェブサイトで公表される。
 
 Sinovac-CoronaVacの初期接種を3回接種とすることから、既にSinovac-CoronaVacの2回の接種を受けたケースについては、ワクチン接種状態の判断基準の見直しを行う必要がある。特に、2回目と3回目の接種間隔は90日とする必要があることを考慮しなければならない。このため、Sinovac-CoronaVacの接種を2回受けている人については、2回目の接種から4か月間と本年12月31日までのどちらか遅い方の日までは接種を完了していると見なされる。これによって(既にSinovac-CoronaVacの接種を2回受けた人が)3回目の接種を受ける時間が確保され、引き続きワクチン接種完了状態を維持することができるという。Sinopharmワクチンの接種を2回受けた場合についても同じルールが適用される。
 
 海外からの渡航者については、本国でSinovac-CoronaVacの接種を2回しか受けていない人が多いと政府は承知しており、そのような場合についてはワクチン接種完了として扱うが、30日間に限るとする。
 

ワクチンが医学的に接種できない人へのVDSに関する特別措置

 ワクチン非接種者を保護し、医療への負担を軽減するため、政府は様々な場所でVDSを導入してきた。しかし、医学的にmRNAもSinovac-CoronaVacも接種できない人たちが存在する。このため、特別措置として、国の接種プログラム(NVP)にある全てのワクチンが医学的に接種できないと認定されたケースについてはVDSが免除される。具体的な要件及び特別措置開始の日程については後日保健省(MOH)から公表予定。
 

社会・経済活動の安全な再開

職場の安全確保のための労働者のワクチン接種措置

 2022年1月1日から、ワクチン接種を完了している*、またはコロナに感染し回復後270日以内の労働者に限り出社することが可能となる。ワクチン未接種の労働者は検査を受けて陰性でなければ出社できない。検査は保健省認定の検査業者によるPre-Event Testである必要があり、出社できるのは結果の有効期間内(ARTの結果は24時間有効)に限られる。
 
 この検査要件は医学的にワクチン接種が不可能な人や妊婦にも適用される。政労使は、そのような労働者について、パフォーマンスに影響を与えないようにしつつ在宅勤務とすることや、適切な検査費用の分担についての合意などの企業が行うべき配慮について取りまとめた。詳細は保健省(MOH)及び人材開発省(MOM)によるプレスリリースと労働者のワクチン接種に係る政労使ガイドラインにより発表される。

※WHO緊急使用リストのワクチン(注:ファイザー・ビオンテック/コミナティ、モデルナ、アストラゼネカ等を含みます)の接種を規定の用法で受け、防御が有効となる期間を経た者で、保健省のシステムにワクチン接種歴が登録されている者

安全・健康な運動を通じ高齢者をアクティブに保つ

 この数か月、感染拡大防止のための安全管理措置のため、高齢者が社会とつながり健康のために活動する方法が限定されてきた。しかし身体・精神の健康維持のためにはアクティブでいることが必要である。そこ政府は、People’s Associationにより、ワクチンを完了した高齢者が安全管理措置に従いながらできる運動を企画。運動の場所、日時等詳細は後日People’s Associationから発表される。
 

各措置の緩和の指標

 関係省庁タスクフォースは先日、「安定化フェーズ」の措置が今後1か月そのまま続くことはないと強調した。現在、いくつかの重要指標を注視しているという。そのうち、一週間の感染比率(過去一週間の感染者数とその前週の感染者数の比率)は現在1をやや超過。これは感染が増加し、医療への負荷が増大し続けていることを意味する。この数字が1を下回り、病院・ICUの状況が安定している状況になれば、措置の一部緩和(一定の安全対策の下での集団スポーツや学校での活動の再開、同世帯の人での飲食店での飲食の許可)の検討がなされる。
 

水際措置の更新

ワクチン接種を完了した家事労働者の入国

 11月1日から、ワクチン完了を要件として、安全のための調整を図りつつ必要な労働者や留学生が入国できるような仕組みが施行される。政府はこの一環として、国内世帯の家事や介護のために今すぐ必要な家事労働者の入国を増やす。ただし、国外の状況に応じて入国者数は慎重に調整する予定。
 

水際措置の国・地域の見直し

 政府は国・地域別のコロナの状況の評価と水際措置見直しを定期的に行っており、今般各カテゴリーの見直しを行った。変更後の国・地域の分類とそれぞれの水際措置についてはAnnex A)のとおりで、10月26日23:59到着分から適用される。
 

バングラデシュ、インド、ミャンマー、ネパール、パキスタン、スリランカからの渡航再開

 過去14日以内にバングラデシュ、インド、ミャンマー、ネパール、パキスタン、スリランカでの滞在歴がある場合、長期滞在資格者も短期渡航者も、入国及びトランジットを不可とされていたが、状況が改めて評価された結果、これらの場合(過去14日以内にバングラデシュ、インド、ミャンマー、ネパール、パキスタン、スリランカへの滞在歴がある人)についても、10月26日23:59から入国及びシンガポールでのトランジットが許可される(注:外国人は事前に入国承認取得等手続が必要)。渡航者はカテゴリー4の水際措置に従う。
 

検査とStay Home Noticeの簡素化

 シンガポールに到着、トランジットする人の検査手続についても見直し、簡素化がなされた。10月26日23:59以降カテゴリー2(Vaccinated Travel Laneを除く)、3、4の国からの渡航者は到着時PCR検査の受検は不要となり、SHN終了時のPCR検査のみ受検が必要となる。
 
 カテゴリー3の国・地域からの渡航者は、渡航者本人や同居者のワクチン接種状況や過去の滞在歴(カテゴリー1、2、3のいずれか。就労パス保持者は別途MOMによる要件があります)に関わらず、申告した場所(住居/宿泊施設)での10日のSHNを行うことができる(注:日本を含むカテゴリー2からの渡航者も含め、就労パス保持者・帯同者や学生パス保持者・同行者は別途入国に当たってワクチン接種要件がある)。
 
 政府の専用SHN施設の割り当ては原則無し。帰国者は、自宅がSHNに適切でない場合は帰国までにその他の適切な宿泊施設を確保しておく必要がある。カテゴリー4の国・地域からの渡航者は引き続き政府の専用施設において10日間のSHNを行わなければならない。
 

提供:在シンガポール日本国大使館

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXニュースTOP【コロナ最新情報まとめ】自宅療養プログラム、ワクチン接種の拡大、...