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政治

2021年7月20日

フェーズ3「Heightened Alert」更新事項の詳細

 7月16日、シンガポール保健省(MOH)はフェーズ3「Heightened Alert」の更新について下記の通り公表した。
 

最新の状況

 関係省庁タスクフォース(MTF)は、フェーズ3(Heightened Alert)の下でより多くの経済・社会活動を再開するための7月12日以降の工程を発表した。工程はシンガポール国民のワクチン接種率に大きく依存しており、ナショナルデー(8月9日)までに住民の3分の2がワクチン接種を完了することを目指している。しかし、この1週間に出現した新たな感染クラスターは、COVID-19との戦いにおける我々の努力を後退させるものだった。今回の事態により、再開の計画は遅れるが、ワクチン接種に向けた取り組みが継続的に進んでいることから、今回の事態が収束した後は、経済や社会を安全に再開できるとの見通しだ。
 

すべてのナイトライフ施設の営業停止

 複数のKTVラウンジやナイトクラブが飲食店(F&B)として営業を開始していたが、これらの施設から多数のクラスターが検出された。感染の連鎖を断ち切るために、これらの施設のスタッフや来訪者に対する検査を実施。しかし類似の施設でさらに感染者数やクラスターの増大が確認されている。
 
 2020年10月以降、ナイトライフ施設の営業は認められていないが、業界からの申し出により、飲食店の営業への転換が認められている。残念なことに、この制度を悪用して、いくつかの施設が密かに違法な営業を行っていたと発覚。3軒の飲食店が、シンガポール食品庁(Singapore Food Agency)によって食品提供のライセンスを取り消された。政府は安全管理措置(SMM)に違反したすべての飲食店営業者に対して、引き続き厳しい措置を講じていく。
 
 さらに、飲食店に変更したすべてのナイトライフ施設に対して、2021年7月16日から2021年7月30日までの2週間の営業停止措置を実施。このような施設は400以上あり、営業停止については個別に通知される。この期間中、これらの施設のすべてのスタッフを対象に検査が行われる予定だ。また施設の安全管理措置の検査、それらが適切に実施されていることを確認した上で、飲食店としての営業再開が許可される見通し。
 

感染者の強力な囲い込み

 コミュニティでの感染拡大のリスクを軽減するために、シンガポールはSafeEntry(SE)データを用いて、KTVクラスター周辺の感染者を強力に囲い込む方針。
 
 ・COVID-19の感染が確認された人と同時期にホットスポットを訪れたことが確認された人には、SMSで「Health Risk Warning」が送信される。
 ・該当者は法律に基づき、指定された検査センターで検査を受け、最初のPCR検査で陰性と判定されるまで、自主隔離することが求められる。
 ・陰性と判定されても、ウイルスが潜伏している可能性があるため、(感染が確認された人との)最後の接触から14日間は、予防のために他人との接触を制限し、必要な活動のみに限る必要がある。 
 ・該当者には、最初のPCR検査に来る際に、自己検査用の抗原迅速検査(ART)キットが交付される。最後の接触から7日目に、感染していないことを確認するために、自分でART検査を行うことが求められる。
 ・ウイルスを潜伏させていないことを確認するために、(感染が確認された人と)最後に接触した日から概ね14日目に、指定された検査センターで再度PCR検査を受けることが必要となる。
 ・万が一、咳、鼻水、発熱などの急性呼吸器感染症(ARI)の症状が出た場合は、直ちに医師の診察を受けること。
 
 また、飲食店として営業しているこれらのナイトライフ施設がある場所や、シンガポール警察が特定した他の類似施設を訪れたことのある人には、SMSで「Health Risk Alert」が送信される。「Health Risk Warning」とは異なり、該当者は法律による措置の対象とはならないが、最後にこれら施設を訪問してから14日間は、健康状態を監視し、他人との接触を制限するなどの予防措置が必要。また、薬局でARTキットを購入し、14日の間、定期的に自己診断を行うことが推奨される。
 
 2021年6月29日から7月15日までの間に、飲食店として営業しているナイトライフ施設を訪れた人や、ホステスと何らかの形で接触した人は、無料の検査を受けることができる。自費で民間のクリニックに行って検査を受けることも可能。同様に、咳、鼻水、発熱などの急性呼吸器感染症の症状が出た人は、すぐに医師の診察を受けることが求められる。

 

飲食(F&B)施設内での飲食

 飲食店内での飲食は、現在許可されている5人から2人までのグループに縮小される。以下の場合は飲食店で最大5人までのグループであれば店内で食事をすることができる。
 
 ・ワクチン接種済みの人
 ・感染からから回復した人(270日以内)
 ・ワクチンを接種していない人で、食事をする際、PET検査の結果(陰性)が有効期間内である場合
 ・12歳以下の子ども。
 
 個々の飲食店は、それぞれの営業形態や顧客のタイプ、店内飲食をする人のワクチン接種のステータスを確認する能力を踏まえ、ワクチン接種のステータスに応じた人数上限を導入するかどうかを決めることができる。しかしホーカーセンター、フードコート、コーヒーショップなどでは、一般的にSafeEntryによるチェックインが義務付けられていないため、テーブルに着く前に個人のワクチン接種ステータスを確認することは困難である。そのため、ホーカーセンター、フードコート、コーヒーショップでは、グループサイズは2人までがデフォルトとされる。
 
 飲食店内での飲食は、多くの人がマスクを外して密接するため、依然としてリスクの高い行為であることから、ライブパフォーマンス、音楽、ビデオ/テレビの上映などのエンターテイメントは、引き続き禁止される。飲食店の利用者も、すべての安全管理措置を遵守し、飲食時以外は常にマスクを着用することが求められる。
 

結婚披露宴

 結婚披露宴は、引き続き現行の1テーブル5人までの規模で実施可能で、グループ内のすべての人がワクチン接種済みである必要はない。イベント前検査の要件にも変更はなし(例:イベント前検査を受けた人250人まで、披露宴のみであれば検査を受けた人50人まで)。
 

屋内での高強度のマスクなし・スポーツ/エクササイズ活動

 屋外での活動(マスクあり、マスクなし)および屋内でのマスクありの活動については、5人以下のグループ、インストラクターを含む50人以下のクラス(会場の収容人数がそれより少ない場合は収容人数が適用される)であれば継続可能。ワクチン接種や検査の状況は関係しない。
 
 屋内での高強度のマスクなしの活動については、以下が適用される。
 ・2人以下のグループ、インストラクターを含めて30人までのクラスでは、検査やワクチン接種を必要としない。
 ・クラスの全員がワクチン接種済みであるか、回復した患者であるか、またはクラスの期間中に検査で有効な陰性結果を持っている場合には、30人までのクラスで5人までのグループでこれらの活動を続けることができる。
 ・12歳以下でワクチンを接種していない子どもが参加するアクティビティの場合は、最大30人のクラスで2人までのグループとされる。
 ・クラスの人数制限は30人または会場の収容人数制限のいずれか少ない方
 

職場での社交行事

 職場や公共交通機関での接触を全体的に減らすため、在宅勤務が引き続きデフォルトとなる。雇用者は、この取組を遵守することが求められる。職場に出向く必要のある従業員は、引き続き始業時間をずらし、フレックスタイム制を守らなければならない。
 
 職場での社交的・娯楽的な集まりは認められず、仕事に関連したイベント(例:製品発表会、タウンホールミーティング)では、引き続き飲食物の提供は禁止。
 

特定業種への支援策

 8月8日まで様々な活動の安全管理措置が強化されることに鑑み、政府は、影響を受けた業種に対する10%のJobs Support Scheme(JSS)を2021年7月26日から2021年8月8日まで延長する。これにより、ライセンスを取得した飲食業者、ジム、フィットネススタジオ、舞台芸術団体、芸術教育センターへの支援が行われる。
 
 また、自営業のホーカーへの支援を行うため、政府は、国家環境庁(NEA)またはNEAが指定した業者が管理するセンターの出店者を対象に、家賃免除やテーブルクリーニング及び集中食器洗浄サービスの料金の補助を1カ月延長する。
 

エンデミックとなったシンガポールに向けて

 規制の解除および、エンデミックとなったCOVID-19と共存するシンガポールに向けてのさらなるステップは、全員が警戒を怠らず、安全管理措置を継続して遵守し、ワクチン接種によってより多くの国民を守ることができて初めて可能となる。シンガポール政府は対象となるすべての人、特に高齢者に、一刻も早くワクチン接種に踏み切ることを強く推奨している。
 

提供:在シンガポール日本大使館

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