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2021年7月8日

フェーズ3「Heightened Alert」最新情報

 シンガポールが「Heightened Alert(特別警戒)」に入って約2ヶ月が経った。フェーズ3(Heightened Alert)下において、政府は制限を6月14日、21日と2段階で緩和してきたが、経済・社会活動の更なる再開のため、さらに各措置の調整を続けるとシンガポール保健省(MOH)が発表した。
 

シンガポールの状況

 7月5日時点での過去一週間の国内新規感染者は28人で、その前週の86人から減少している。経路不明感染の件数についても同4人で、前週の14人から減少傾向。
  
 105 Henderson Crescentや115 Bukit Merah View Market and Food Centre等で感染が発生しているが、積極的検査とアクティブサーベイランスによって感染拡大を検知し封じ込めに成功。感染の連鎖を遅らせることができており、更なる制限の緩和ができる状況となっている。
 

7月12日以降の安全管理措置の改正

飲食店での人数上限

 飲食店内での飲食は5人までのグループで可能になる。この上限は現時点でのソーシャルな集まりの上限と同じ。店内での飲食は、多くの人がマスクをせず密接する状態となり、高リスクである。利用客が大きな声を出して飛沫を飛ばす要因となるので、飲食店内でライブや音楽、テレビ・ビデオを流すことは引き続き禁止。ソーシャルディスタンス確保や飲食時以外のマスク着用、その他全ての安全管理措置への遵守が求められる。
 

結婚披露宴の再開

 結婚披露宴は、入場前検査(Pre-Event Testing (PET))の実施により250人以下で開催することが可能になる。50人以下の場合は、新郎新婦及び関係者のみの入場前検査受検で可能。長時間にわたって多くの接触・交流があるリスクの高い場面となるので、感染拡大リスクを減らすため、参加者はその他全ての安全管理措置を遵守する必要がある。
 

屋内でのマスクなしでの運動等

 ジム、フィットネススタジオでは、5人までのグループでマスクをせずに屋内で運動をすることが可能となる。スポーツ・エクササイズのクラスは、引き続き全体でインストラクターを含めて50人又は施設の収容上限人数のうちの少ない方まで、かつ1グループ5人までとすることで実施可能。詳細はSportSGから発表予定。
 

職場でのソーシャルな集まり

 職場及び公共交通機関において人の接触を全体として減らすため、引き続き在宅勤務がデフォルトとされる。事業者は現在の体制を続け、出勤させなければならない労働者がいる場合は時差出勤とし、フレックスタイム制を導入しなければならない。職場でのソーシャルな集まりやレクリエーションでの集まりは可能だが、人数は国内全体ルールである5人以下とする必要がある。
 

特定業種への支援策

 政府は5月16日から7月11日までの間に影響を受けた業種へのJobs Support Schemeによる支援強化を実施している。制限の段階的緩和を踏まえ、7月12日から25日までの補助額は10%に引き下げられる。
 

高リスク職場のスタッフへの定期簡易検査(FET RRT)について

 定期簡易検査(Fast and Easy Test Rostered Routine Testing(FET RRT))について、7月15日以降、以下の職場で全ての従業員への実施を義務化する。
 
 a 店内飲食のある飲食店
 b 各種ケアサービス(フェイシャルケア、ネイル、スパ、サウナ、マッサージ、ヘアドレッシング、メイク)
 c 利用者がマスクを外すジム及びフィットネススタジオ
 

抗原迅速検査(ART)キットを入手しやすく

 7月16日から、抗原迅速検査キット(OTC ART)が、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の一般小売店での販売開始される。また、1人10個までの購入制限も廃止。感染の不安がある場合に、より気軽に自己検査を実施できるようになる。(※急性呼吸器症状がある場合は、医療機関を受診することが求められる。)
 

全てのスーパーマーケットへのSafeEntryとSafeEntryゲートウェイの配備

 スーパーマーケットが混雑しており、感染のリスクが高くなっている。建物内において感染者と滞在時間が重なった人に対する追跡を強化するため、スーパーマーケットは、既にTraceTogether-only SafeEntry(TraceTogetherアプリ/トークンでしかSafeEntryチェックインできないプログラム)が導入されている建物内にある場合でも、TraceTogether-only SafeEntryとSafeEntryゲートウェイによるチェックインを改めて導入する必要がある。21日からの施行となり、独立店舗のスーパーマーケット等既にTraceTogether-only SafeEntryとSafeEntryゲートウェイを独自に設置している場合は引き続きその運用が必要。
 
 全てのスーパーマーケット利用者はTraceTogetherアプリかトークンでSafeEntryゲートウェイを使ってチェックインしなければならない。接触者の追跡を容易にし、人々を守っていくため、SafeEntryによるチェックインを守ることや、TraceTogetherトークンの携行又はTraceTogetherアプリを起動しておくことが推奨される。
 

50%の人がワクチン接種を完了したタイミングで更なる改正

 ワクチン接種率の上昇を踏まえ、シンガポール政府はワクチン接種者に対して異なる安全管理措置をとっていくとした。国のワクチン接種プログラムにより接種を完了した人は、より多くのコミュニティの活動や経済活動に参加できるようになる。より多くの人がワクチンを接種することにより、感染者から、特にワクチンを接種しておらず感染の危険が高い者への感染拡大のリスクを減らすことができる。
 
 感染状況が引き続き安定している前提の下、少なくとも人口の50%の人がワクチン接種を完了したタイミング(7月末頃と考えられる)で、政府は以下を実施することを検討している。
 
 a ソーシャルな集まりの人数上限を8人までに引上げ
 b 映画館、礼拝、MICEイベント、ライブ公演、観客入りスポーツイベント、結婚式等について、ワクチン接種が完了した人については人数上限を倍、すなわち500人までとする。
 c リスクの高い、屋内でのマスク無しでの場面(例:飲食店内での飲食)において、ワクチン接種を完了した人(注1)のみ8人まで集まって良いこととし、それ以外は5人 までとする。
 d 在宅勤務は引き続きデフォルトとしつつ、労働者のワクチン接種割合に応じて出社を許可する。
 

エンデミックに向けて

 シンガポールが年初に開始したワクチン接種は着実に進んでいる。政府はワクチン接種の進捗に応じて制限緩和や感染対策の変更を計画してはいる中、ワクチン接種が可能な全ての人は、可能な限り早くワクチン接種を受けるよう強く推奨されている。また、2回目の接種予約が1回目から6~8週間後となっている場合は、2回目の予約を1回目から4週間後に早めることが求められる。MOHは「多くの人がワクチンを受けて初めて、活動の再開を進めていくことやエンデミックとなったコロナとともに生きていくことが可能になる」と述べている。
 
 ※ワクチン接種を完了した人とは、ファイザー・ビオンテック又はモデルナのワクチンの接種を2回受け、2回目の接種から2週間経て防護効果が最大となった人。感染から回復した人についても、ウイルスへの免疫を獲得しているため同等に扱われる。まだワクチン接種を受けていない人や医学的にmRNAワクチンの接種を受けられない人(12歳以下の人を含む)への配慮として、政府は一定の制約下で、入場前検査によって要件を緩和することや、子どもは要件免除とする等の別の制度を検討している。
 

 8月1日から、日本国内に住民票を有しない海外在留邦人等の中で、在留先での新型コロナウイルスのワクチン接種に懸念等を有し、日本に一時帰国してワクチン接種を行うことを希望する場合を対象に、成田空港及び羽田空港においてワクチン接種事業が実施される予定。詳細は外務省海外安全ホームページを参照の事。
提供:在シンガポール日本大使館

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