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政治

2021年6月11日

フェーズ3への段階的な再開措置まとめ

 6月10日、シンガポール保健省(MOH)は安全な再開(段階的緩和)に向けて、感染のリスクを最小限に抑えるための安全対策措置を下記の通り公表した。
 
 関係省庁タスクフォース(MTF)は、フェーズ2(警戒の強化)によるコミュニティの対策強化を6月13日まで実施することを発表していた。一連の施策はコミュニティでの感染者数を減らし、現在は強化した対策を緩和できる状態にある。依然として少数ではあるものの感染経路不明な症例が時折見受けられるため、引き続き市民は警戒を怠らず、体調不良の際には医師の診察を受けることが求められる。
 
 新型コロナウイルス・ワクチンの接種状況は引き続き順調に進んでいる。今後は12~39歳のシンガポール国民と、過去に新型コロナウイルスに感染し、回復した人を対象にワクチン接種プログラムが拡大される予定。対象者は6月11日以降、登録および予約が可能となる。
 

フェーズ3への段階的な再開(6月14日~)

社交的集まりの許容されるグループサイズの拡大

 社交的集まりのグループサイズの上限を現在の2人から5人に増やし、1世帯あたり1日2人の訪問者の上限を1世帯あたり1日5人に増やす。感染の可能性を減らすために、社会的交流は小さなグループに限定し続ける必要があり、社交的集まりの回数の上限は1日に2回までに制限される。
 

アトラクション、クルーズ、博物館、公共図書館

 MTI(貿易産業省)の事前承認を得た試験運行クルーズを含むアトラクションの収容上限は、現在の25%から50%に引き上げらる。また、博物館、公共図書館についても、上限を50%に引き上げて運営することが認められる。
 

映画館、企業イベント、ライブパフォーマンス、スポーツ観戦

 これらのイベントの観客動員数は、イベント前検査(PET)を実施することで250人まで拡大される。参加者が50人以下のイベントについては、PETは不要。イベントの種類ごとの詳細は関係機関が発表する。ライブパフォーマンスでのマスクを外して歌唱したり管楽器を演奏することは引き続き禁止されており、6月21日から再開する見込み。
 

礼拝などの集まり

 礼拝などの集まりはPETを実施することで250人までの参列者で行うことができる。参列者が50人以下の場合、PETの実施は必要ない。礼拝中のライブパフォーマンスでマスクを外して歌唱したり管楽器を演奏することは引き続き禁止されており、6月21日以降に再開する見込み。宗教活動に関する詳細は、MCCY(文化・共同社会・青年省)から発表される。
 

結婚式

 外部会場(居住地や婚姻登記所/ムスリム婚姻登記所の建物ではない場所)での結婚式は、結婚式の新郎新婦を含む250人までの出席者(公証人および業者を除く)で行うことができ、その場合、結婚式の新郎新婦を含むすべての出席者にPETの実施が必要となる。出席者が50名以下の結婚式の場合、PETは不要。自宅で行われる結婚式では、主催者側の世帯は5名までの参列者(主催者側世帯,公証人および業者を除く)を招待するか、または出席者を合計10名までの出席者(現行の上限に従い、公証人および業者を除くすべての出席者を含む)とするかの、いずれか多い方を選ぶことができる。なお結婚披露宴は引き続き禁止されており、6月21日以降に再開される予定。
 

マスクなしの個人向けサービス

 マスクを取り外す必要のあるパーソナルケアおよび美容サービス(フェイシャルケア、サウナなど)の再開が認められる。
 

6月21日より再開される活動

店内飲食の再開

 飲食店での店内飲食の再開が許可される。飲食店での食事はリスクが高いため、マスクをしていない人の間での感染リスクを軽減するため、飲食店ではグループ(5人以下)とグループの間に少なくとも1メートルの安全距離を置くことを厳守することが求められる。シンガポール政府は取締りを大幅に強化し、違反した場合にはより厳しい措置を取る予定。来店に際しては、飲食中を除き、常にマスクを着用する必要がある。
 

結婚披露宴

 出席者が100名(夫婦を含むが、業者は除く)までの披露宴は再開することが許可される。出席者全員のPETの実施が必要。50名までの披露宴では、招待客を除く、結婚当事者側全員(夫婦を含め20名まで)にPETの実施が必要となる。
 

ライブパフォーマンス

 ライブパフォーマンスにてマスクを外して歌唱したり、楽器の演奏をすることは、NAC(国家芸術庁)が発表する関連する安全管理措置の実施を条件として認められる。また、集会や礼拝でのライブパフォーマンスでは、管楽器の歌唱・演奏を再開することができる。
 

ジム、フィットネススタジオ、マスクをしないスポーツ活動

 ジムやフィットネススタジオでは、屋内でマスクをせずにスポーツ活動を再開することができる。ただし人と人の間は2メートル以上、5人までのグループの間は3メートル以上の安全距離を確保することが求められる。スポーツクラス(屋内外共)の定員は30名(インストラクターを含む)で、5名以下のグループで構成される必要がある。スポーツクラス参加者は、激しい活動を行う場合はマスクを外しても構わないが、感染のリスクを減らすために、可能な限りマスクをしたままでいることが強く推奨される。この点については、SportSGが詳細を発表する予定。
 

個人レッスン・習い事

 18歳以下の生徒を対象とした個人レッスンおよび習い事は、安全管理措置を強化した上で再開することができる。また、ハイリスクとされる歌唱や管楽器など芸術・文化のレッスンも再開される。これらのクラスに関する詳細は、NACが発表する予定。

 

引き続き在宅勤務をデフォルトに

 今後数週間でフェーズ2から移行するが、職場やその近くの共有スペース、公共交通機関を含む公共の場での人の往来や交流を減らすことで、感染リスクを引き続き抑えていくことが重要とされている。そのため、シンガポールでは在宅勤務が引き続きデフォルトとなる。事業主は、在宅勤務が可能な従業員は在宅のまま、職場に戻る必要のある従業員には引き続き始業時間をずらすなどして、フレキシブルな労働時間を実施しなければならない。複数の職場への労働者の相互派遣は引き続き禁止。
 

対象となる支援策

 6月20日まで様々な活動が引き続き規制されることから、政府は影響を受けた部門に対するJobs Support Scheme(JSS)の現行の支援を6月20日まで延長する。6月21日から30日までの間、関連部門は10%のJSS支援を受けることができる。また、政府は新型コロナウイルスに起因するタクシーおよび個人ハイヤー利用者数減少の影響を緩和しており、タクシーおよび個人ハイヤーの運転手に対しては「COVID-19 Driver Relief Fund」をさらに3ヶ月間延長し、2ヶ月間は1台あたり月額300Sドル、次の1ヶ月間は1台あたり月額150Sドルを支援する。
 

リスクの高いマスクをしない活動従事者への定期的・迅速・簡易検査(FET)体制の構築

 マスクをしない活動の再開に伴い、マスクをしない活動での感染を減らすための一連の対策の一環として、マスクをしていない顧客がいる環境で働くすべてのスタッフに対して、ワクチン接種の有無にかかわらず、抗原迅速検査(ART)などの検査を用いてFET実施体制をとることが義務付けられる。対象となるスタッフは下記。
 
 ・店内飲食のある飲食店
 ・マスクを外さなければならないパーソナルケアや美容サービス(例:フェイシャルサービス、サウナ、メイクアップサービスなど)
 ・顧客がマスクを外して利用するジムやフィットネススタジオ
 
 今後数ヶ月間、政府はFETの能力を積極的に高めていく予定。FETの義務化は、まず大規模店舗で展開し、その後小規模な店舗にも拡大される。飲食店については来月以降、FETの義務化が段階的に進められる。
 

抗原迅速検査(ART)自己診断キットの薬局での販売

 健康科学庁(HSA)は、4種類のART自己診断キット「Abbott PanBioTM COVID-19 Antigen Self-test」、「QuickVue At-Home OTC COVID-19 Test」、「SD Biosensor SARS-CoV-2 Antigen Self-Test Nasal」、「SD Biosensor Standard Q COVID-19 Ag Home Test」を一般消費者向けに販売することを暫定的に許可した。これらの検査は20分以内に結果が出て、使い方も簡単で、自分で検査することができる。これらのキットは6月16日からガーディアン、ユニティ、ワトソンズの薬局で薬剤師が販売し、順次より多くの小売店で利用できるようになる予定。ARTに関する詳細な情報は、6月16日以降、様々なメディアチャンネルやMOHのウェブサイトを通じて提供される。すべての人に十分な供給を確保するため、販売当初は一人10個まで。
 
 ART自己診断キットは、国民のサーベイランスシステム全体を補完するものとされる。これらのFETは、特に急性呼吸器感染症(ARI)の症状はないが、新型コロナウイルスにさらされたかもしれないと心配している人(例:症例が確認された場所を訪問した人)の症例をより早く発見することができる。ART自己検査で陽性結果が出た場合は、ぐにSwab and Send Home Public Health Preparedness Clinic(SASH PHPC)に連絡し、PCRによる確認検査を受けることが求められる。その後、PCR検査の結果が陰性になるまで、自己隔離を行う必要がある。ARIの症状がある場合は、ART自己診断キットに頼るのではなく、引き続き医師の診断とPCR検査を受けることが必要である。
 

新たなグループのワクチン接種開始

 6月9日現在、シンガポールにおけるワクチンの接種回数は440万回以上で、約250万人が少なくとも1回目の接種を受け、そのうち約190万人が2回目の接種を受け、ワクチン接種を完了している。全体の接種率は上昇しており、現在までに60歳以上の高齢者の約74%、45歳から59歳の対象者の約74%、40歳から44歳の対象者の約65%がワクチン接種を受けるか、接種予約をしている。
 

12歳から39歳までのシンガポール国籍者

 12歳から39歳までのシンガポール国籍者(SC)にも予防接種プログラムを拡大し。6月11日以降、vaccine.gov.sgからオンラインで登録、予約ができるようになる。2021年に12歳になる子どもは、誕生日を越えてからでないとワクチン接種の予約ができない。登録後、登録した携帯電話番号に送信される個人用の予約リンクを含むSMSを通じて、ワクチン接種の予約が順次案内される。このSMSは、登録から数日後に届く予定。ただし、ワクチン供給の増加に伴い、接種の予約枠が増えるため、SMSの受信に2週間程度かかる場合もある。なお、以前にvaccine.gov.sgに登録した場合、再度登録する必要はない。登録の案内は、今後数ヶ月の間にその他の人々にも拡大される予定。
 

回復者

 以前に新型コロナウイルスに感染し、回復した人は、1回の接種で新型コロナウイルスに対する免疫力がさらに高まることを示す証拠があるため、1回のワクチン接種が推奨される。感染後回復して6ヶ月以内の場合は、引き続き免疫反応が強い可能性が高いため、現時点では6ヶ月以上前に感染した人のみを優先して1回接種が行われる。すでにワクチン接種の対象となっているグループであれば、6月11日以降に登録することができる。
 

18歳未満の親権者の同意

 シンガポールにおけるワクチン接種プログラムでは、18歳未満の場合、予防接種の予約をする際に親・保護者の同意が必要となる。保護者はvaccine.gov.sgにて、子供がワクチン接種を受けることを登録することができる。予約の際には、ワクチン接種を受けることに同意する必要がある。接種会場での確認のため、保護者は子供にワクチン接種に同意したことを証明する書類を持参させることが求められる。13歳以上の場合、保護者が接種日に接種会場に同行する必要はない。
 


 シンガポール保健省(MOH)は、シンガポール国内における感染者数及び、ワクチン接種状況等関連情報を保健省HPにて公表している。

 

提供:在シンガポール日本大使館

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