昨年は詐欺被害が増加、国境を超えた犯罪は捜査が困難

　【シンガポール】昨年は詐欺被害が急増した。シャンムガム法相兼内相が5日の国会で明らかにしたところによると、1～11月の被害件数は前年同期比80％増の1万4,960件で、被害総額は同64.3％増の2億5,430万Sドル（約199億円）だった。
 
　多くは海外の犯罪組織による事件で、オンライン取引の増加に付け込んだ行為だ。国境を超えた犯罪は対応が困難だという。
 
　質問者のシルビア・リム議員（労働者党委員長）は警察の捜査、取り締まり状況についてもただした。
 
　シャンムガム氏によれば、犯罪対策を強化するため、警察は詐欺防止センターを19年6月に設けた。これまでに1万4,000件余りの届け出を受理した。被害総額は1億6,220万Sドル（約127億円）で、5,570万Sドル（約43億円）を回収し、1万1,200個の銀行口座を凍結したという。
 
　しかし被害金を海外当局が押収しても、被害者の手に戻るまでには時間がかかっているという。「被害者が複数いる」、「詐欺された金が複数の口座を移動」、「犯罪と無関係の金と一緒にプールされている」などが理由だ。