シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXニュースTOP子どもの常時マスク着用、精神発達面で弊害も

社会

2020年11月9日

子どもの常時マスク着用、精神発達面で弊害も

 新型コロナウイルス禍を根拠としたマスク着用が日々のルーティンとなった感があるが、マスクの常時着用は子どもの情緒に弊害があるとの懸念が親や専門家から指摘されている。
 
 学術誌「フロンティアズ・イン・サイコロジー」が2016年に行った調査では、表情や視覚的な合図・手掛かりは、社会生活で子どもが感情を認識し共有する助けとなっており、極めて重要との結果が出ている。
 
 心理療法院を運営するアルティ・ムンデ氏は、子どもが自己表現を学びつつある段階でのマスク着用は意思伝達面の発達を遅らせる可能性があると指摘する。意思伝達は表情による影響が大きく、声の調子、大きさ、速さの影響は38%、言葉による影響はわずか7%だ。
 
 ムンデ氏は「マスクをしていると、感情の理解に重要な微妙なニュアンスを認識できないため、社会、感情面の知性の発達が遅れる可能性がある」と述べた。
 
 メープル・ベア幼稚園では、教師はマスクではなくフェイスシールドを使い、教師の唇の動きを園児が認識できるよう、はっきりした話し方を心がけているという。
 
 シンガポール政府は9月、子どものマスク着用義務を2歳児とそれ以上から、6歳児とそれ以上に改めた。世界保健機関と国連児童基金が、5歳以下の子どものマスク着用は望ましくないとの勧告を出したためだ。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXニュースTOP子どもの常時マスク着用、精神発達面で弊害も