シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXニュースTOP「経済回復のペースは鈍い」、金融庁報告

経済

2020年10月29日

「経済回復のペースは鈍い」、金融庁報告

 シンガポール金融管理庁(MAS)は28日、年2回実施しているマクロ経済調査の報告書を発表。旅行関連や人との接触を伴う飲食業など複数の産業部門は来年末になってもパンデミック前の水準に回復することはないとの見通しを示した。
 
 今年第3四半期の経済は、経済活動の制限を受けた前期より回復したが、制限解除による生産活動の再開によるもので、需要面では企業は引き続き投資を控え、家計は裁量支出を控えると予想されるという。
 
 外食業、小売業は第3四半期に持ち直し、企業組成も増加したが、政府の賃金補助が減少するため、この先倒産が増加する可能性がある。
 
 以前の景気後退時には、底打ちまで4四半期かかり、危機前の水準に回復するには3四半期を要したが、今回は第2四半期に急落し、底も深く、ワクチンがシンガポールおよび世界で十分供給されない状況ではウイルス禍再発の可能性があり、経済の決定的回復は阻害される見通しだという。
 
 経済活動の低迷で税収も減少した。上半期の経常収入は国内総生産(GDP)比11.7%の264億Sドル(約2兆円)で、前年同期比32%の減少だった。最も減少したのは法人税収で、69%減の28億Sドル(約2,144億円)。
 
 歳出はGDP比20%に相当する452億Sドル(約3兆4,600億円)で、経常支出が増加した。賃金補助など国民への支援措置の実施、医療関連支出の急増が主因だ。公共工事の遅延で開発支出は減少した。

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