2020年10月12日
精神的健康の相談者が増加、パンデミックによる活動制約が影響
新型コロナウイルスの感染拡大(パンデミック)の中、シンガポールで病院の精神科や、精神衛生上の問題の解決支援に当たる団体に相談する人が増えている。外出制限が行動を制約しストレスが増していることが主因だ。
若者の精神上の悩みを扱う非営利団体リミットレスによると、新規の相談者数は250人超と昨年通年を上回った。悩みを解消するための活動ができず支援も得られないというのが主な理由で、虐待的な親がいる家から出られない苦しみを訴えた人もいるという。
苦痛を感じたのは若者に限らない。高齢者の精神上の悩みに対処するボランティア組織、オージョイによると、8月と9月は前年同月と比べ相談者が26%増えた。就労者からは、失職したら次の職を見付けられないと心配しているとの悩みが寄せられた。
自殺防止活動をしているサマリタン・オブ・シンガポールには、パンデミックで経済的影響を受けた、人との触れ合いがなくなった、などの悩みが寄せられた。
臨床心理サービス、セラピー・ルームのタン理事によると、パンデミック対策が原因でこれまで精神的問題がなかった人が患者になるだけでなく、既に精神的病を持っている患者の症状が悪化したという。
「世界精神的健康の日」の10月10日、リー・シェンロン首相はリモート行事で「新型コロナウイルスで生活へのストレス、破たんに直面している人が増加した」などと演説した。