2020年10月7日
「十分な情報に基づく同意」で法改正、医師がとるべき行動が明確に
シンガポール国会は6日、民法を改正した。患者への対応で医師が取るべき姿勢に関する条項の改正で、患者のどのような質問にも医師は適切に返答しなければならない。
改正法では医師は、
●医師団体が許容できるような態度で患者に接しなければならない。
●患者が合理的に必要とする情報、つまり患者が十分な説明に基づく決定をするために重要な情報を提供しなければならない。
エドウィン・トン第2法相は趣旨説明で「患者の質問に愚かな質問というものはない。どの質問も重要であり、医師はそれに答えなければならない」と述べた。
患者が懸念を自ら表明しない場合も、そうした懸念があると病歴から医師が判断できる場合、医師はそれについて患者に説明しなければならない。
法改正のきっかけとなったのは、医師から投薬の副作用について十分な説明がなく、副作用があったとの患者からの苦情を扱ったシンガポール医療委員会(SMC)懲戒法廷の裁定をめぐる混乱。懲戒法廷は医師を有罪としたが、控訴裁判所は、懲戒法廷では重大な判断の誤りがあったとし、無罪を言い渡した。
今回の法改定では医師登録法も改正し、懲戒委員会をSMCから独立した機関にする。SMCは政府機関。