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社会

2020年9月10日

インドネシア人家政婦無罪判決、当局に不正行為の疑い

 シンガポールの空港運営会社チャンギ・エアポート・グループ(CAG)のリュー・ムンリョン会長宅で家政婦として雇われていたインドネシア人女性、パルティ・リヤニさんが9月4日、控訴審で無罪判決を言い渡された事件で、判事は原告のリュー家および警察に不適切な動機、行為があったとした。これを受け検察は事実調査に乗り出す。
 
 パルティさん(46)は2007年から16年まで会長宅で家政婦として働いたが、18年、5万Sドル(約388万円)超の財産を盗んだとしてリュー氏と一家から訴えられた。盗品は解雇された際、彼女が梱包した箱から見つかったという。
 
 パルティさんは、盗んだものではなく、自ら購入した物、いただき物、廃棄処分されていた物で、自分で梱包した記憶はないと容疑を全面否定した。
 
 19年3月、地裁判事は禁錮26カ月の有罪判決を出したが、財布2つ、衣類5点はリュー氏の息子カール氏の所有物ではなかったとして容疑から外した。判決を不服としてパルティさんは高等裁判所に控訴。4日の判決でチャン・センオン裁判官は、解雇前、パルティさんがカール氏の自宅と事務所の掃除を言いつけられたため不服を表明したことを取り上げ、「一家は人材開発省に苦情を申し立てる時間を彼女に与えないため、十分な時間の余裕を与えず解雇した」とした。
 
 帰国後、パルティさんは苦情申し立ての意向を表明したが、リュー氏と息子は警察に盗難届を出すことで彼女のシンガポール再入国阻止を図ったとした。さらに、警察の証拠管理、盗品とされた物の記録についても疑惑があるとした。
 
 検察は同日、ルシエン・ウォン検事総長はパルティ容疑者に対する起訴にかかわっていないとの声明を出した。ウォン総長はリュー氏がキャピタランドの社長だった当時、取締役だった。検察は、ウォン総長とリュー氏は個人的に親しい関係にないとした。

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