ウイルス禍以前のシンガポールには戻らない＝チャン通産相

　チャン・チュンシン通産相は11日の経済統計の発表に際し、シンガポールがコロナウイルスCovid-19以前の世界には戻ることはなく、新たな針路を切り開かねばならないと政府方針を明確にした。
 
　チャン氏は、現在の危機はアジア通貨危機や世界金融危機の時のような、身を潜めていれば数カ月後に事態が改善するというものではないと強調。「待つだけでは国は劣化する。今、ニューエコノミーを構築し、より多くの雇用機会を創出しなければならない」と述べた。
 
　チャン氏は後戻りのできない世界的変化として、◇米中間の競争、緊張が政治だけでなく、貿易、技術、安全保障の領域まで及んでいる◇多国籍企業は生産・サプライチェーンの再編に乗り出しており、効率や「ジャストインタイム」より、まさかの時に対応できる強靭さを重視するようになっている◇職の変容で他国にいる者もシンガポール人と同じ職務をこなせる◇経済活動の利益全体の縮小で富裕層と貧困層、外国人と市民、さらには国民と永住者とのあつれきが増す――の4点を挙げ、変化に速やかに対応できなければシンガポールは回避されるとした。
 
　経済では、ワクチンなど生物薬剤、サプライチェーン、精密工学を政府として有望視しており、企業活動を後押しするという。