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デング熱の感染が急拡大、過去最多を更新の恐れも

 デング熱の感染者数が増加しており、シンガポール環境庁(NEA)は3日、5月最終週の新規患者数は735人と5年来の高水準に達したと発表した。週ベースの過去最多は891人で、近い将来、更新の可能性もあるという。
 
 6月2日時点で今年の患者は9,261人と前年同期の2倍強に達した。通年では2019年の1万5,998人は言うに及ばず、13年の2万2,170人を上回る可能性もあるという。
 
 デング熱による死亡者は12人で、全員が56歳以上だった。昨年の死亡者は20人。患者が複数発生したクラスターは176カ所で、最大は181人の患者を出したウッドリー。本島中央部のやや東に位置する。
 
 感染が拡大している理由は複数ある。デング熱は血清型に分類して4種のタイプがあるが、今年流行しているのは30年前に流行した、血清型がデンV-3のウイルスで、免疫を持つ住民が少ない。人はかつてかかったタイプにしか免疫を持たない。
 
 5月から9月は気温が高く、ウイルスを媒介するネッタイシマカの繁殖が盛んになる。また社会・経済活動を制限する「サーキットブレーカー」の導入も原因だ。
 
 多くの住民が在宅を要請された結果、蚊にとっては血を吸う相手が増えることになった。NEAの調査によれば、2カ月間にわたるサーキットブレーカー中、家庭、集合住宅の共用廊下で発見されたボウフラの数は、それ以前の2カ月間の5倍だった。