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経済
金融

2019年7月3日

国営投資公社が年次報告、リスク回避で現金・債券比率引き上げ

 
 シンガポールの外貨準備を運用するシンガポール政府投資公社(GIC)は7月2日、3月期の年次報告を公表した。過去20年間の実質投資利回りは3.4%で、昨年と同じだった。
 
 3月末時点の投資配分は、現金と債券が39%と1年前の37%より引き上げた。先進国市場の株式への投資は23%から19%へ縮小した。先進国、特に米国市場は経済成長、企業業績の伸びが鈍化しつつあり、レバレッジが高いため金融面の脆弱性が高まっているという。
 
 GICの過去20年間の名目リターンは8.9%で、運用を委託している財務省が設定している目標値(10.6%)を下回った。
 
 米中貿易摩擦を受けGICは、摩擦の影響を受ける可能性の少ない資産への投資を図っており、1日には、米ブルックフィールド・インフラストラクチャーと共同で、北米の鉄道網を所有するジェネシー・アンド・ワイオミングを84億米ドル(約9,085億円)で買収すると発表した。
 
 さらに、GICが80%、データセンター業のエクイニックスが20%出資する合弁会社を通じ、総額10億米ドル(約1,082億円)を投じロンドンとパリの大型データセンターを買い取り、アムステルダム、フランクフルト、ロンドンの計4カ所では、データセンターを開設すると発表した。
ジェフリー・ジャエンスバキジュ最高投資責任者は「データセンター事業は貿易戦争に左右されない」と会見で語った。
 
 中国企業による業務の海外移転にも注目しており、メキシコ、東南アジアを中国企業は有力視しているという。GICは既にベトナムの2銀行に出資している。

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