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政治

2018年2月21日

予算案:イノベーションを引き続き優先、予算案

ヘン財務相は予算案読み上げで、イノベーション(技術革新)を引き続き最優先する考えを示した。現在実施している補助政策を生産性ソリューション助成計画(PSG)に一本化し、企業が既存技術を利用しやすくする。

 

 技術革新のための経費の最大70%を補助する。企業は「ビジネス・グラント」ポータルサイトから申請できる。知的所有権(IP)の商業利用で発生するライセンス料については、19査定年度から全額、税控除の対象とする。

 

 革新的技術の創造も支援する。年10万ドル(約812万円)を上限に、税控除率をIP登録経費の100%から200%へ引き上げる。シンガポールで行われた研究開発(R&D)の経費について、税控除率を150%から250%へ引き上げる。

 

 国際企業庁(IE)と規格生産性革新庁が4月に統合するのに合わせ、企業の国際化支援措置も一本化し、企業開発グラント(EDG)との名称で、国際化を図る企業の必要経費の最大70%を助成する。2重課税控除計画も強化する。

 

 労働者のデジタル能力を高めるための技術アクセラレーターは、製造、専門職にも適用範囲を拡大する。データ分析、人工知能、IoT(モノのインターネット)など、デジタル技術の習得を後押しする。

 

デジタル技術をマッチング、仮想プラットフォームを構築
デジタル技術を必要とする企業と、ソリューションを持つ情報技術(IT)企業をマッチングさせるプラットフォーム「オープン・イノベーション・プログラム」を4~6月期に設置し、革新的技術の共同開発を後押しする。

 

 公的資金で創造された知的所有権の商業利用を奨励するため、国家研究財団と国営投資会社テマセク・ホールディングスは、こうしたIPを利用する企業に出資し、育成する。

 

 航空・海事転換計画では、空港、海港の業務効率、治安、交通管理改善に役立つ新技術の開発、利用を奨励する。

 

 ロボット工学計画では、病院など建物内および建設作業でのロボットの多用を奨励する。

 

インフラ・オフィスを開設へ、アジアにインフラ機会
中国が提唱した一帯一路などでアジアにおいて創出される可能性のあるインフラ整備機会をシンガポール企業がとらえるのを後押しするため、インフラストラクチャー・オフィスを設ける。

 

内外企業が情報を交換する場とする。企業間提携を促進し、また投資、融資につなげるため、開発業者、機関投資家、法務・会計・金融サービス業者などにオフィス利用を促す。詳細は通産省予算の審議で発表する。

 

法定機関・国営企業の起債、政府保証債に
政府は、陸運庁(LTA)、住宅開発庁(HDB)など法定機関や国営企業が資金調達で長期債を発行する際、政府保証を付けることを検討している。保証を付ければ低利での資金調達が可能になるためだ。

 

 LTAはクアラルンプール・シンガポール高速鉄道およびジョホールバル・シンガポール快速鉄道の建設資金調達で起債を検討している。またチャンギ空港第5ターミナル建設でも、長期債による資金調達が検討されている。

 

 空港整備のためのチャンギ空港開発ファンドの積立残高は40億ドル(約3,250億円)。政府は鉄道建設のための基金「鉄道インフラ・ファンド」も設立する。

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