シンガポールの階層化社会は容認しない、国会答弁でリー首相

所得格差の拡大に関する議員の質問に対し、リー・シェンロン首相は文書による答弁で、「所得格差の拡大、固定した階層化社会の出現を容認すれば、シンガポールの政治は堕落し、社会は壊れ、国は衰退する。格差の緩和、社会の統一が極めて重要だ。このため政府は、民族、母語、信仰、社会的背景にかかわりなく国民全体の融合を図っている」と述べた。

政策研究所は昨年12月、シンガポール社会で最も顕著にみられるのは、民族、宗教ではなく、階層による分離、との調査結果を発表していた。国民は自分と同じような教育レベル、同種の住居に住んでいる人とつながりを持ちやすいという。

これを受けガン・ティアムポー議員が質問を出したもので「調査結果が真実であれば、格差が広がる前に是正努力をすべき」との考えから、対策を政府にただした。

社会学者テオ・ユーエン氏の、不平等に関する著書も最近の話題で、競争を基本に据えたシンガポールの教育制度に関し論議を巻き起こした。

リー首相は答弁で「1つの経済体において、ある程度の所得の不平等は自然なこと。しかし公正な社会において、こうした不平等は社会的流動性で緩和されるべき。親の所得や地位・身分に基づき、自分の社会的地位が固定されていると感じる社会であってはならない」とした。