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会計・税務相談

2011年7月4日

Q.2011年1月1日より商品・サービス税(GST)の供給時期に関する規定が改正されたそうですが、どのように改正されたのでしょうか。

商品・サービス税(GST)供給時期に関する規定の 改正について

商品・サービス税(GST)に登録する課税事業者は、課税対象となる商品やサービスの供給について顧客から徴収した「アウトプットタックス」とその課税供給を行うために購入した商品やサービスについて支払った「インプットタックス」を3ヵ月間の会計期間毎に計算して申告しなければなりません。申告にあたり、個々の取引についてどの会計期間に含めて申告すべきかは、供給時期の規定に基づき判断されます。

 

2011年1月1日より、この供給時期に関する規定が改正されました。従来のGST法では、商品またはサービスの供給時期は、以下のいずれかが最も早く発生した日とされていました。

     a.  商品が出荷された、または使用可能となった、あるいはサービスが行われた日

     b.  課税請求書が発行された日

     c.  支払いを受け取った日

 

但し、課税請求書が上記(a)の日から14日以内に発行され、課税請求書を発行する前に(c)の支払いを受け取っていない場合には、課税請求書の発行日をもって商品またはサービスの供給時期とすることとされています。

 

上記の規定は複雑であり処理が煩雑であるため、実際の商習慣に従って簡素化されることになり、2011年1月1日より以下のいずれかが最も早く発生した日に改められました。

     a. 請求書(課税請求書に限らず)が発行された日  

     b. 支払いを受け取った日


供給時期の判断基準となる請求書の日付は、従来の規定では課税請求書(Tax Invoice)に限られていましたが、改正により課税請求書以外の請求書(Debit Note等)も含められるようになりました。

 

支払いには、前金の支払いも含まれています。従って、商品やサービスが全く供給されておらず、請求書が発行されていなくても、手付金等として契約金額の一部が前払いされ、それが7%の標準税率による課税供給に関する支払いであった場合、支払われた金額の7分の107は、支払日に供給された課税供給のアウトプットタックスとして申告されなければなりません。

 

支払いを受け取った日は、現金による支払いであれば顧客から現金を受け取った日、NETSやクレジットカードによる支払いの場合にはクレジットカード会社等から自社の銀行口座に支払いが入金された日、小切手による支払いの場合には小切手が銀行に提出された日に受け取ったことになります。

 

この改正により、新しくGSTに登録する課税事業者はより柔軟な対応ができるようになりました。従来の規定では、GST登録前に出荷された商品はGSTアウトプットタックス徴収の対象外となり、従ってそれに対応する仕入に生じたインプットタックスも還付の対象外となっていました。そのため、新しくGSTに登録する事業者は、インプットタックスの還付を受けるために登録が完了するまで出荷を遅らせるといった対応に迫られていました。改正により、GST登録前に商品が出荷されても、GST登録後に請求書が発行されればその取引はGST登録後の課税供給となり、対応する仕入に発生したインプットタックスについて還付を請求することができるようになりました。

取材協力=斯波澄子(Tricor Singapore Pte. Ltd.

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.192(2011年07月04日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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