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やさしい中医学

2007年7月2日

臓腑学と自己観察の方法

今回から臓腑学について説明します。簡単に言うと、五行学で分類された内蔵の生理功能、そして身体に現われる病理現象をまとめたものです。陰陽学、五行学と合わせて基本を知っていると、自分の症状に対して何に気をつけたらいいのか理解が深まります。肺を例にとると、生理現象は呼吸、病理現象は咳や喘ぎとなります。風邪をひいた時、咳、鼻水、鼻詰まり、熱、腹痛、吐き気といった症状が出たとします。陰陽学と五行学(木火土金水)を思い出してみて下さい(アジアエックス97号、99号参照)。肺は五官の鼻、体液の鼻水に関係しています。また、肺と陰陽の関係にあるのは大腸で、五行の金のグループに共に属しています。肺が弱れば、自然と大腸にも影響がでて、腹痛がおこります。さらに、風邪のひき始めに、吐き気がしたり、食欲が無くなったりするのは五行の関係でいうと、土である脾臓と胃が金の肺を生み助けるバランスが崩れるからです。逆に言えば、胃が弱った為に風邪を引くともいえます。このように身体に現れる症状は、内臓の調和が崩れ、生理功能に異常が起きた時に出てきます。そしてその出かた、出る箇所がきちんと分類されているのです。一見複雑に思える症状も、これらの理論に照らし合わせると、はっきりしてきます。

 

肺についてもう少し詳しく見てみましょう。肺の「呼吸」という生理功能は、ただ息を吸って吐いているわけではありません。この呼吸には、4つの作用があります。

 

  1. 呼吸によって自然界の気を取り入れ、汚れた不要の気を排泄する。
  2. 体内の余分な水分を汗、尿として排泄する。
  3. 栄養素を体表にまで行き渡たらせ、外邪の侵入を防ぐ。
  4. 全身に気血を行き渡らせ、生理功能を調節する。

 

これらの機能に異常が起こると、咳、喘息、痰、鼻水、胸悶、呼吸困難、無汗あるいは大汗、排尿困難あるいは頻尿、浮腫、風邪を引きやすい等の症状が出てきます。また肺が陰虚(潤い不足、熱を帯びる) になると顔の火照り、手足の火照り、鼻やのどの乾燥、乾咳、血痰、寝汗などの症状がでます。陽虚(温める功能の低下、防御の低下)の時には、悪寒、痰、何もしていないのに出る汗、風邪を引きやすいなどの症状です。五行学を思いおこしていただくと、肺は他にも体の皮膚(毛穴)、精神では悲しみと関係しています。機能が衰えるとそれらの箇所に症状がでるので、肌荒れ、湿疹、皮膚病の出現、また悲しんでばかりいると、肺を患いやすくなります。よく女性に見られる、便秘の時の肌あれは、典型的な肺と大腸のパートナーシップをもの語っています。

 

肺と大腸については、お解かりいただけたでしょうか?

 

ここに経絡学という、針灸、指圧に使われるツボとツボをつなげた道が、身体のどこを通っているのかを知ると、よりいっそう自己の状態を理解することができます。また自分で症状に適した指圧治療ができます。

 

次回以降、臓腑の生理功能と病理現象の説明をした後、経絡学を学びましょう。

文=島田久仁子(Kuniko TCM & Healthcare 中医師)

 

1991年来星。針灸師の教育を受け、診療所に勤務。「天気ヘルス」を設立し、太極拳、気功、骨格運動、家庭の中医学等、自己の治癒力を高める指導を始める。当地の厚生省による中医師及び針灸師国家試験制度の実施にあたり、新加波中医学院にて6年修業。国家試験を経て中医師及び針灸師として認定登録。新加波中医師公会会員。恩師曹光裕博士に師事。中華医院所属。現在「天気ヘルス」を「Kuniko TCM & Healthcare」と改め、上記の指導に加え健康相談及び治療を行っている。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.101(2007年07月02日発行)」に掲載されたものです。

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