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やさしい中医学

2007年7月30日

臓腑の生理効能と病理現象 (1)脾臓と胃

今回は脾臓から説明します。脾臓は胃とペアーを組んでいます。脾臓は陰陽学で言うと、臓器なので陰に属し、胃は腑なので陽に属します。身体の異常は先ず六腑におこり、それに対応した身体の箇所に症状が現れます。脾臓は五行学では土のグループなので、土のグループにどんな身体の箇所や、生理反応が属していたか思い出してみて下さい。唇、筋肉(粘膜を含む)、よだれ、しゃっくりなどです。胃壁の潤い(陰液)が不足すると、唇が荒れたり、口内炎が起きたりします。また、胃は食物を受け入れ、小腸で吸収し易いように消化したうえで、小腸に送り出すという働きをしますが、異常が起きると逆に口の方へ戻そうとします。これがしゃっくり、吐きけ、嘔吐といった症状として現れます。また、消化不良のまま小腸に食物を送ると、小腸は栄養の吸収以外に消化という作業を強いられ、本来の仕事に支障が生じ、栄養不良、未消化物の排泄が起こります。人は食べることで栄養を取り、エネルギーを補給します。また、噛む動作に依って満腹感を得、満足します。胃を大事にすることは健康を保つ第一歩です。その胃が衰弱すると脾臓に影響が及び、症状は悪化します。どんなことが起こるのでしょうか?

 

脾臓の作用には、大きく分けて3つあります。

 

  1. 胃腸の消化吸収を助け、食物や飲み物からの栄養と水分を、全身に行き渡たらせる。
  2. 特に栄養を心臓、肺、脳、頭、耳や目など身体の上部へ運ぶ。
  3. 血液が血管の中を流れるようにする。血液が血管から漏れないようにする。

 

したがって、脾臓に異常が起こると、上記の作用に支障が出てきます。 その結果、以下のような症状が出ます。

 

  1. お腹が張る、腸がゴロゴロする(腸鳴)、軟便、下痢、消化不良、黄疸、食欲不振、倦怠感、無気力、虚脱感、痩せる
  2. 精神不振、眩暈、口喉の渇き、唇飲乾燥、舌の付け根の強張り及び痛み、ゲップ、しゃくり、上歯の異常、手足のほてり、脱肛、内臓下垂、下半身のむくみ
  3. 出血症(特に下半身)、あざ、鼻血、血便、血尿、生理期以外の不正出血

 

特に女性は、毎月生理があります。生理期に必要以上の出血が起きないように、脾臓が作用しますので、男性に比べると女性の脾臓は疲れ易いのです。よく生理と生理の間、特に排卵期などに見られる出血は、脾臓の疲れあるいは異常の為に出ると考えられます。また、生理が近くなった時あるいは生理期に来た時に、軟便や下痢を起こし易い方がいますが、これは脾臓あるいは胃が疲れているか、元来脾臓と胃が虚弱であることが多いようです。

 

脾臓と胃を健康に保つには、肝臓と胆嚢との調和が重要になります。次回は、肝臓と胆嚢について説明します。

 

※五臓六腑について

五臓(陰):肝、心、脾、肺、腎

六腑(陽):胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦

三焦は内臓を上中下3つに分けたものを総称したものです。経絡学の説明の際にあらためて詳しく述べます。

文=島田久仁子(Kuniko TCM & Healthcare 中医師)

 

1991年来星。針灸師の教育を受け、診療所に勤務。「天気ヘルス」を設立し、太極拳、気功、骨格運動、家庭の中医学等、自己の治癒力を高める指導を始める。当地の厚生省による中医師及び針灸師国家試験制度の実施にあたり、新加波中医学院にて6年修業。国家試験を経て中医師及び針灸師として認定登録。新加波中医師公会会員。恩師曹光裕博士に師事。中華医院所属。現在「天気ヘルス」を「Kuniko TCM & Healthcare」と改め、上記の指導に加え健康相談及び治療を行っている。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.103(2007年07月30日発行)」に掲載されたものです。

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