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やさしい中医学

2007年10月1日

臓腑の生理効能と病理現象 (3)腎臓

これまで肺と大腸、脾臓と胃、肝臓と胆嚢について説明してきましたが、今回は腎臓について説明します。腎臓とペアを組んでいるのは膀胱です。以前お話した陰陽学五行学を覚えていますか? 腎臓は陰に属し、膀胱は陽に属して陰陽を保ちます。木火土金水の中では、腎臓と膀胱は水に属します。そして腎臓は五臓六腑、全ての臓器の生みの親と考えます。生みの親とは、元気の源で、全身の陰陽の事でもあります。

 

腎臓には、身体の生理機能の源である「元気」「精」(以下「精」)が貯蔵されます。この「精」は私達が母親のお腹にいる時に両親からもらった先天の気、飲食物から吸収した後天の気、そして呼吸から得られる気、この3つが腎臓で混ざりあい製造されると同時に、腎臓に蓄えられます。「精気がない」「精が出ない」とは、正に元気の蓄えが無いと言う事です。「精」に依って、人の生殖、生長、発育及び生理活動の安定が計られます。ここで言う発育とは、ただ子供が成長していくと言うことだけではなく、髪の毛が伸びたり、傷口がふさがったりといった、身体の修復作用を含めたものです。

 

腎臓は水に属しており、体内の水分調節を行ない、全身に潤いを行き渡らせます。排泄は、腎臓からの指令で膀胱を開閉して行われます。赤ちゃんの腎臓はまだ未熟なので排泄をコントロールできず、オムツをしていますが、腎臓も成長すると膀胱に指令を出せるようになり、3才頃には自分でトイレへ行けるようになってきます。更に成長に伴って生殖機能が育ち、女性は初潮をむかえ男女共に思春期にはいり、やがて成熟期を迎えます。だいたい40才~45才頃から腎臓も老化を始め、身体の機能が少しずつ衰え始めます。ですからこの年齢になってきた時、身体に不調が出てくるのは当然のことです。身体からの注意信号を感知し、病気になる前に調整していくことが大事です。

 

腎臓には深い呼吸を促す作用があります。中医学では、肺と腎臓の共同作業に依って深呼吸ができると考えます。また腎臓が弱ると腰や膝に症状が出やすくなります。腰痛がある時、呼吸が浅くなったり、苦しく感じたことはありませんか? それは以上のような関係から起こります。

 

腎臓の作用をまとめると、以下の3つになります。

 

  1. 「精」を蓄え、生長、発育、生殖を促し、身体の代謝及び生理功能を調整する。
  2. 身体の隅々まで潤い、栄養をいきわたらせ、不要な水分は尿、便、汗などで排泄させる。
  3. 肺を助け深い呼吸を促す。

また、膀胱は尿を貯蔵し、腎臓の指示に依って排泄を行います。これらの機能に異常が生じると下記のような症状が見られます。

 

  1. 発育不良(特に歯、骨、脳、神経、耳、髪の毛等)、渇き、口干、咽干、舌干、心悶(胸の辺りの不快感)、寝汗、自汗、体熱、手足のほてり、遺精、早精、遺尿、失禁
  2. 多尿、少尿、夜尿、身体の乾燥、むくみ
  3. 呼吸が浅い、呼吸困難
  4. 五行学に基づき、耳、髪の毛、腰、骨、髄等に症状が出やすい。

これらの身体からの注意信号をキャッチできるよう留意してください。次回は心臓と小腸です。

文=島田久仁子(Kuniko TCM & Healthcare 中医師)

 

1991年来星。針灸師の教育を受け、診療所に勤務。「天気ヘルス」を設立し、太極拳、気功、骨格運動、家庭の中医学等、自己の治癒力を高める指導を始める。当地の厚生省による中医師及び針灸師国家試験制度の実施にあたり、新加波中医学院にて6年修業。国家試験を経て中医師及び針灸師として認定登録。新加波中医師公会会員。恩師曹光裕博士に師事。中華医院所属。現在「天気ヘルス」を「Kuniko TCM & Healthcare」と改め、上記の指導に加え健康相談及び治療を行っている。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.107(2007年10月01日発行)」に掲載されたものです。

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