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なぜコンドミニアム賃料が高騰したのか?

シンガポールのコンドミニアム賃貸料上昇推移

下図1は、1998年第4四半期を指数100として、コンドミニアムの売買価格(ピンク色)と賃貸料(オレンジ色)を折れ線グラフにしたものです。

約2年前の2009年第4四半期と2011年第4四半期を比べると、売買価格は24%、賃貸料は22%も上昇しています。2008年9月のリーマンショックの影響もあり大きく下げた不動産市況は、売買・賃貸共に2009年にそれぞれ指数133.3、129.3で底を打ち、その後2011年第4四半期にはそれぞれ206.2、159.2まで急上昇しました。コンドミニアムの賃貸契約は通常2年なので、2年前に契約した人は、契約更新時に大幅値上げを求められる可能性もあります。

売買相場と賃貸相場は似ているようで大きな違いがあり、「売買では仮需(投機)の要素が大きく、未着工の物件まで売買」されますが、「賃貸、特に住宅の賃貸の場合は、竣工済みで入居可能なもののみが対象で、基本的に実需ベース」です。その性格の違いが、2011年第4四半期のピーク値の差に現れているのではないでしょうか?この「差」が、いわばバブルだと指摘する方もいます。

日本人を含む外国人駐在員は概してコンドミニアムに住んで居ますが、当地の住宅の約8割は公団住宅(HDB)で、コンドミニアムは約1割にすぎません。下表でわかる通り、エンプロイメントパス(EP)保有者総数(=EP保有世帯数)はコンドミニアム総戸数とほぼ拮抗しており、今後も外国人駐在員の増加がハイペースで続けば、新たなコンドミニアムの竣工が赴任者数に追いつかず、家賃の高止まり状況がまだ続くと思われます。逆に、経済情勢急変などで、駐在員人口の伸びが鈍化ないし減少すれば、コンドミニアム賃貸相場は下降するでしょう。