O・ヘンリー賞やピュリツァー賞等を総なめにした彼女の最新作「The Namesake(邦題:その名にちなんで)」が日本語に翻訳された。残念ながら店頭になかったので、この作品の原書と彼女のもう一つの作品「Interpreter of Maladies(邦題:停電の夜に)」を手に入れた。語学が堪能でない私は、「原書を読み始めたが途中で断念記録更新」の可能性があるが、短篇集である後者から読んでいる。と言っても、知らない言葉を辞書で調べる代わりに日本語版を手許に置いて読むという軟弱者だけど。どの作品も何となく哀しく切ないが、どことなくユーモアがある。一方で、この一冊は子供にはお奨めできない。べつに本書を好きになれない人が子供だというわけではなく、日常生活を描いている作品ばかりで、ストーリーの起伏が激しいわけではないので、少なくとも子供だった頃の私には登場人物の感情の機微を知ることができなかったはずというだけの話。
新潮文庫