彼らの微妙な気持ちが痛いほど伝わってくるとともに、読者自身の心中を見透かされているように思えて恐ろしいような不安をも感じる。女性の著者が何故ここまで男心がわかるのか不思議なほどだ。
そもそも、一般に小説に登場する男性はカッコよすぎるのではないかと思う。特に男性作家は、自分自身と混同されることを恐れているのではないかと思うほど、情けない男性心理を描くのが下手だ。こういう心理は自虐的に描いても、軽蔑的に描いても読者は不快なだけである。そのようにならずに、ありのままの男性心理を描くのは女性だからこそできることなのかもしれない。
小学館