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『夜のピクニック』恩田陸

photo-9羨ましいと私は思った。夜を徹して歩き通す歩行祭。たった一夜の出来事が、特別なものに変わるそのことを彼らは感じる事ができたから。「あの頃」をあっさり卒業してしまった私は損をした気分になる、ほんとうに切なくまぶしい物語なのです。

(酒井和美・紀伊國屋書店本町店)

 

この本には「青春」がぎっしりと詰まっている。俵万智の有名すぎるデビュー歌集のなかに「青春という字を書いて横線の多いことのみなぜか気になる」という歌があるのだけれど、そういう青春の混沌というかぐちゃぐちゃさ加減を、美しく、ほほえましく描ききった秀作。共学、とくに公立の進学校に通った人たちにはぜったいツボだと思います。

(星 真一・紀伊國屋書店梅田本店)

 

新潮社