2005年2月28日
『黄金旅風』飯嶋和一
無冠の帝王、飯嶋和一の4年ぶりとなる新刊は期待を裏切らない大傑作!とにかく読んで驚いていただきたい。この国にかつて、こんなにも清々しい男たちがいたということに。権力におもねらず、金にこびない海の男たちのなんと自由なことか。数々の文学賞を辞退しつづける飯嶋さんだからこそぜひともキノベス!に選びたい。
(星 真一・梅田本店)
これほどの力量をもった作家があまり知られていないというのは、本当にもったいない。この厚さが敬遠されるのだろうか。しかしこの枚数をもってしか描ききることのできない物語の緻密さ、深さがそこにある。舞台は江戸時代、名の知られた人物など登場しないが、金と権力にまみれた世界の中で信念を持って生き抜いた男を描いた、とても読みごたえのある一冊です。
(S.I.・ロフト名古屋店)
小学館
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.033(2005年02月28日発行)」に掲載されたものです。