そんな自分が本書『パレード』を読んだものだから、読んだ当初は「楽しそう」と思った。都内2LDKのマンションに同居する5人の若者を描いたこの作品、5人の登場人物達が相談したり、飲んだり、遊んだり、喧嘩したり、こんな付かず離れずな共同生活の様子からは居心地の良さ・楽しさが伝わってくる。実際のところ周りで見かけたことも無いような少し変な連中だが、5人それぞれのモノローグで進む物語には生活感が漂い、リアルに感じられるから不思議だ。
しかしこの楽しげな様子は最後の場面で急にひっくり返される。ネタばれになるので書かないが、解説の川上弘美が「怖い」と表現したこの展開を読んで、「何もそういう結末にしなくても」と何だか気持ち悪くなった。
必ずしもオススメという訳ではないのだけれど、他の人は読後どんな感想を持ったのかが気になってしまう1冊ではある。
幻冬舎文庫