世界の国々には二つの潮流があると著者は指摘している。食を資源ととらえるアメリカやイギリスのような国と、食を文化ととらえる中国・フランス・日本などの国。ファストフードに代表されるアメリカ食文化の貧困さを読むにつれ、後者の国に生まれた幸せを感じずにいられない。世界に誇る豊かな食文化を持った日本。我々はもっとその食文化に関心をもっていきたいものである。育児や学校教育の現場でも、食文化の大切さは強調されるべきだろうと思う。シンガポールの人々も明らかに食を文化と捉えている。そんな国に住むことができた幸せに感謝し、おいしい料理を味わい尽したいものだ。
文藝春秋