宮崎駿といえば、「天空の城ラピュタ」や「風の谷のナウシカ」、「トトロ」…と色々あります。私も遥か昔、少年だった頃、「天空の城ラピュタ」を初めて見た時にあまりに絵が綺麗で「おー、なんて綺麗なんだろうか」と感激していたのを今も憶えています。しかし、その後青年になるまで、私は知らなかったのですが、この『シュナの旅』という宮崎駿の本を読んだ時は軽い感動を覚えました。
本書は『犬になった王子』というチベットの民話を元にしています。ある国の王子が、作物の育たない土地に生きる国民の貧しい生活を憂い、大地に豊饒をもたらす「黄金の種」を求め、旅に出るという話です。宮崎駿の絵と共に静かに語られる、その過酷な旅の物語は、生きるという地道な営みの強さを感じさせてくれます。
徳間書店