読んでいる最中に、俵万智の「青春という字を書いて横線の多いことのみなぜか気になる」という短歌をふと思い出すような感じで、「青春」という陳腐な言葉が脳裏から離れなかった。
才能溢れる野球少年だったことは一度もないが、もう20年以上も前のことを思い出す。今考えると非常にバカバカしいことに対して深刻に悩んでいたこととか、連れ立ってくだらないことをした友人たちとかを懐かしく思う。特に、当時の友達たちとの何でもない付き合いが懐かしい。学校でも一緒、学校が終わっても一緒と、今となっては何故あんなにずっと一緒にいることができたのか不思議に思う。
かつて少年だった人たちにも、その子供たちにもお勧めしたい。一人で楽しむのも良し、親子で楽しむのも良し。
角川文庫