そんな時は、なぜそういう違いがあるのか、あるいはなぜそういう違いを感じるのか、その国の成り立ち、ひいては日本人である自分を考察していくと非常に興味深く、思わぬ発見があったり(なかったり?)するかもしれません。
新年からそんな小難しいことは…というのもあるかもしれませんが、改めてシンガポールの社会に目を向けてみてはどうだろう?ということで、ご紹介するのが本書『アジア二都物語』。
本書はシンガポールと香港というイギリスに植民地化されたアジアの二つの都市がどのように現代にいたったか、そしてその社会に住む人々の文化的な違い、共通点を比較しながら描いていくもの。
特に興味深いのがシンガポールと香港の中華系の人々の違い。当然と言えば当然ですが、中国に隣接した香港の人々と、祖先は中国だが華人として中国からは遠く離れたシンガポールに住む人々では、同じイギリス植民地としての歴史を持っていても様々な違いがあるといいます。それは中国での出身地方という意味での違いでは無く、政治的姿勢の違いや、同じイギリス植民地として使われてきた「英語」というものに対する人々の意識の違いもあるとのこと。
比較することにより見えてくるシンガポールという国を、本書を通して考えてみてはいかがでしょうか。
中央公論新社