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『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎

photo-19まず読む前に、ビートルズのアルバム「Abbey Road」を準備。読んでいる最中、または読後に必ず聴きたくなる。

本書は、伊坂幸太郎の直球勝負のエンターテイメント大作、らしい。緻密な伏線、軽妙な会話、交差する時間軸、伊坂作品の特徴とも言えるこれらが随所に見られる。百聞は一見にしかず。肩の力を抜いて、娯楽のための読書をしたいときに読んで欲しい一冊。

伊坂を読んだことがない人も、本書から読み始めてみて欲しい。べつに伊坂幸太郎とは縁もゆかりもないが、1971年生まれの同世代として、その考え方に共感が持てる。

物語は、ある日首相が暗殺されるところから始まる。知らないうちに容疑者にされ、追われる主人公。ケネディ暗殺の犯人に仕立てられたオズワルド。彼と同じ役を勝手に割り振られたことに当惑しながらも、逃げ続ける。問答無用で拳銃を撃つ警官たち。全てが異常だが、当人には逃げることしかできない。

まったく架空の話ではあるが、ちょっと怖いと思ったのがセキュリティポッド。街中に設置され、通行人を記録し、携帯電話の会話も記録する。

 

新潮社