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紀伊国屋「おすすめの1冊」

2008年9月15日

『1421 中国が新大陸を発見した年』ギャヴィン・メンジーズ著、松本剛史訳

photo-5内容が内容だけに、イギリス人によって書かれたのが興味深い。中国または他のアジアの人間が書いたのであれば読んでみようとは思わなかっただろう。

さて、本書では、中国生まれのイギリス人で元英国海軍の潜水艦艦長が、明朝時代の中国で行われた大航海について独自に仮説を立て検証を進めている。彼によると、明朝第三代皇帝の永楽帝の命を受けた鄭和の艦隊が世界各地を航海し、当時の欧州やアラビア世界、アジアで知られていなかった大陸を見出したという。

根拠薄弱な理論も見られるが、航海技術面で当時最も進んでいた中国が、コロンブスやクックよりも先に、その地図にアメリカ大陸やオーストラリアを加えていたと言われると否定は出来ない。

当時の地図になかった大陸に先に到達したのがコロンブスから鄭和艦隊の周鼎提督に変わったところで日常生活には何の影響も及ぼさないが、我々が教科書で学んだ歴史が変わっていくのであれば面白い。

著者の理論が正しいかどうか、いずれ明らかになる日が来るのだろうか?

 

ソニーマガジンズ

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.130(2008年09月15日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 茂見

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