シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP『モルガン家(上・下)』ロン・チャーナウ

紀伊国屋「おすすめの1冊」

2008年12月15日

『モルガン家(上・下)』ロン・チャーナウ

photo-19サブプライム問題から端を発した未曾有の金融危機が世界を襲っており、金融システムは麻痺状態にある。そんな中、9月に三菱UFJフィナンシャル・グループがモルガン・スタンレーの優先株引き受けを発表。

その報道を見て、一年ほど積読状態だった「モルガン家」を思い出し、ようやく読んでみようという気になった。著者は、JPモルガン・チェースとモルガン・スタンレーがグラス・スティーガル法によって分離する以前の19世紀から、最近までのモルガン一族とモルガングループを描くことに努めている。かつては顧客の利益を優先していた銀行が、銀行そのものの利益を優先していく変遷を垣間見ることができる。

 

photo2また、米国のサブプライム問題を日本のバブル経済と比較することがあるが、「小説 金融庁(江上剛著、講談社)」はバブル後の不良債権処理が遅れた実在の銀行をモデルにしたフィクション。商業銀行に対しては規制があり、正しく監督する省庁も存在するが、ヘッジファンド等にもある程度の規制が必要なのかもしれないと、ふと思った。

 

日本経済新聞社

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.136(2008年12月15日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 茂見

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP『モルガン家(上・下)』ロン・チャーナウ