著者がシンガポールで中学生に日本語を教えていた時、生徒を連れて日本の家庭にホームステイをさせるというプログラムがあったという。その時に、シンガポール人のほとんどの生徒が、食事に困惑したそうである。口に合わないとかそういうことではなく、食事のスピードについてだそうだ。「早メシ」は日本人独特の文化なのかもしれないが、彼らにとっては奇異に感じたそうである。意外なところでギャップは生まれるが、当の本人は気が付かないというのがポイントである。また、シンガポールをはじめとするアジア諸国では、バスの時刻表というのは存在しない。時間感覚が違うということなのだが、その理由についても、筆者の考察が述べられている。多文化と接するには、違いを理解することが大切なのである。
なお、この本は、アジア人をはじめ外国人との日本での付き合い方を中心に述べられているが、シンガポール在住者にも充分有益な内容である。
日本放送出版協会