不思議な物語だった。まだ一度しか通読していないが、完全に理解できたとは思えない。著者は意図的に全てを解明することを避けて、多くを読者の解釈に委ねているのであろう。
登場人物全てが何かのメタファーなのであろうか?ジョニー・ウォーカーは何故に登場しなければいけなかったのだろうか?現時点の私には回答できない。時間をかけて咀嚼し、必要に応じて再読しないといけないと感じさせられた。そういう意味では、久しぶりに読み応えがある小説に出会って嬉しく思う。
心に残ったのは、アイヒマンの裁判について書かれた本に対して、イェーツの詩を引用した大島さんのメモ。アイヒマンについては、伊坂幸太郎の「モダンタイムス」にも出てきていたので、後で関連書を読んでみたい。
新潮社