ワット・アルンを散策していたとき、日本人ツアーがやってきた。ガイドの説明が聞こえてきたが、三島由紀夫の「暁の寺」の舞台になったらしい。実のところ知らなかったので、この機会にと思ってバンコクの紀伊國屋書店で買ってみた。
本書は「豊饒の海」四部作の第三部という位置付けになっている。よって、本来であれば第一部から読むべきなのだが、人間関係は何となく推測できる。
炎天下のバンコクで読んだからだろうか、描写が非常に具体的で、目を閉じればその風景が目前に迫るかのように感じた。一方で、内容は非常に難解。もちろん、第一部と二部を読んでいないことも主たる原因だが、何故?と思うところが少なくなかった。
三島の文章は好きではなかったが、美しくエキゾチックな情景描写を読むだけでも価値がある。
新潮社/ISBN:9784101050232