本作品が誕生した経緯も面白い。抽選で50名に一話を郵送するという企画から生まれた。ある日郵便受けを見ると伊坂の短編が届いている、なんと羨ましいことだろうか。
最近の伊坂幸太郎の作品は読み進めるのがつらかったが、「バイバイ、ブラックバード」では久しぶりに軽妙洒脱な会話を楽しむことができた。
「グッド・バイ」と同じように複数の女性と付き合っている男性が主人公。その主人公が現在付き合っている女性に会い、別離を告げていく物語。太宰の作品と同じように、彼の傍らにいる女性が「こんな奴いない!」とつい声に出してしまうほど、なんとも珍妙。
それにしても「あのバス」は何処から来て、何処に行くのだろうか。安直な想像は最後で否定された。
双葉社/ISBN:9784575236958