2010年11月15日
『デヴィ・スカルノ回想記』デヴィ・スカルノ
私の世代だとデヴィ・スカルノ(デヴィ夫人?)、というとテレビのワイドショーに出て言いたい事を言っている「おばさん」というイメージが強い。しかし、インドネシアの歴史や、小説等を読んでいるとワイドショーの「おばさん」などではなく、インドネシアのスカルノ大統領の妻となり、歴史的にも数奇な運命を辿ってきた1人の日本人女性としての像が浮かび上がってきて非常に興味深い。
本書はそんなデヴィ・スカルノ自身が書いた自伝である。類まれな美貌でスカルノ大統領の愛人としてインドネシアに渡り、ついには正式に結婚をし、妻となるが、その裏には他のスカルノ大統領の妻との間の争いをはじめ、我々には想像もつかないような葛藤がある……。
ある一女性の回想録を超え、歴史的にも非常に興味深く、面白い書となっているのではないかと思う。是非、お隣、インドネシアの歴史を知る上でも読んでみては如何でしょう。
草思社/ISBN:9784794217547
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.179(2010年11月15日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 里見