幼い頃、自分たちだけの暗号を作ってみるということもしたかもしれない。「いろは歌」も暗号ではないかという話を聞いて、子供心にわくわくした人もいるかもしれない。ところが、いつの頃からか大人になるにしたがって、暗号に興味を持たなくなる人が多いのではないかと思う。私も、そんな一人である。
興味の有無に関係なく、現代社会において暗号は不可欠なものになっている。最も馴染み深いものは、インターネットでショッピングするときであろう。本書を読んで、公開鍵という考え方を初めて知り、素因数分解が利用されていることも初めて知った。
暗号の作成者と解読者は人知れず競争を続け、暗号を進化させてきた。現代のような情報社会において、情報を守るために暗号を用いるのは必然であるが、強固な暗号は犯罪者やテロリストも守ることになる。今後は、政府等による規制が暗号のさらなる進化を阻害するのかもしれない。
新潮社/ISBN:9784102159729(上)、9784102159736(下)