と、そんな旅の想い出話はさておき、今回の旅行で久しぶりに再読してみたのが今回ご紹介する本書、『サイゴンから来た妻と娘』。著者は先日、アジア絶版文庫シリーズとして紀伊國屋海外店限定で復刻販売した『目撃者』の著者、近藤紘一である。ベトナム戦争時に南ベトナムのサイゴン特派員として赴任した著者が現地で得た妻と娘、その妻と娘を連れて日本へ……。ユーモラスに描かれるのは日々ぶつかる文化の違い、そして妻と娘への愛情。軽妙な語り口ではあるものの、行間からその深い考察を感じさせるまさに名著である。久しぶりに読み直したが、いつ読み直しても新たな発見を感じさせる。是非、手に取ってみてはいかが。
文藝春秋/ISBN:9784167269012