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紀伊国屋「おすすめの1冊」

2011年9月19日

「心星ひとつ」(みをつくし料理帖シリーズ)髙田 郁

photo-18みをつくし料理帖シリーズは「八朔の雪」から始まり先日刊行された「心星ひとつ」で現在6作品となった。瞬く間に大人気のシリーズとなり多くの人に愛されている。

故郷大阪で両親を失い、江戸で上方料理を出す「つる家」を任されることになる主人公の澪。失敗や妨害など様々な苦難を乗り越える澪の強さ、その成長していく過程がなんとも美味しそうな料理とともに語られている連作時代小説。

物語のところどころに散りばめられている人間の機微に心が揺さぶられること数回。弱さも強さもあわせもつ澪の芯の通った姿に感心すること数回。これから何回この小説を読み返すことになるのだろう。

全作通して、料理とは違ってゆっくり読んでも冷めることもないはずなのに、ついついページをめくってしまう不思議な魅力を持っている。美味しさの詰まった本当にウマイ(巧い・上手い・旨い・美味い)小説。未読の方またこれからも続く物語を是非一読を、また時代小説が苦手という方にも手に取ってほしい一冊。さらに巻末には作品中に登場した料理のレシピ付。

 

ハルキ文庫/ISBN:9784758435840

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.197(2011年09月19日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール紀伊國屋書店 村山

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