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『マネー・ボール』マイケル・ルイス 著/中山宥 訳

photo-10本書は、2003年に米国で販売されベストセラーになり、昨年、ブラッド・ピット主演で映画化されている。久しぶりに読みごたえのある書物に出会った。

これは、メジャーリーグの一員、オークランド・アスレチックスのGM、ビリー・ビーンが、貧乏な弱小球団を常勝軍団に変えていった、その独特な手段を描き出したノンフィクション。

F1に代表されるモータースポーツほどではないにせよ、サッカーにしろ、野球にしろ、多くの球技は球団の懐具合がその強弱の重要な要素となることが多い。

金持ちで強大なヤンキースと、弱小のアスレチックスでは使える予算が大きく異なる。その逆境のなか、ビリー・ビーンは統計学を応用して、他球団が見向きもしないような選手を安く雇い、常勝軍団を築き上げていく過程が非常に面白い。バントや盗塁を重要視しないスタイルも興味深い。

ビジネスにも役立つ点も多いように感じた。どの数値を見れば正しく業績評価ができるか、旧来の方法が今も活用できるのかどうか、これらを考えるきっかけを与えてくれたのではないかと思う。

 

武田ランダムハウスジャパン/ISBN:9784270100288